
【引用:Toyota】1984年に登場し、日本初の量産2シーターミッドシップスポーツとして独自の地位を築いたトヨタ「MR2」。3代にわたって進化した後、2007年に国内販売を終えたこの名車について、近年「2028年に復活する」との観測が急速に広がっている。ただし、2026年8月現在、トヨタはMR2の車名、市販時期、価格、最高出力を正式発表していない。復活説の根拠となっているのは、TOYOTA GAZOO Racingが開発する「GRヤリス M コンセプト」だ。同車はエンジンを運転席後方に置くミッドシップ4WDを採用し、耐久レースで開発が続けられている。そのため将来の市販スポーツカー、あるいはMR2の後継につながる可能性は十分にあるものの、現段階では「2028年発売予定」と断定するのではなく、トヨタが次世代ミッドシップ車の技術基盤を本格的に育てている段階と捉えるのが正確だ。

【引用:Toyota】開発車両の最大の注目点は、新型のG20E型2.0リッター直列4気筒ターボエンジンである。トヨタは従来の2.4リッターターボより体積と全高を約10%抑えながら、高出力化を目指す次世代エンジンとして開発しており、コンパクトな外形は低いボンネットや自由度の高い車体設計にもつながる。GRヤリス M コンセプトでは、このエンジンとトランスミッションを前席後方へ移し、前輪側へ集中していた負担を分散。旋回時のアンダーステアを抑え、ドライバーの操作に対して自然に向きを変える車両を目指している。400馬力以上という数字も取り沙汰されているが、市販仕様の正式な最高出力は未公表だ。また、トヨタはG20E型を電動ユニットとの組み合わせも想定したエンジンと説明しているものの、MR2後継車がハイブリッドになると決まったわけではない。

【引用:Toyota】GRヤリス M コンセプトは、単なるモーターショー向けの展示車ではない。開発は2023年に始まり、当初は現行GRヤリス用の1.6リッター3気筒ターボを搭載した試験車で基本構造を検証。その後、G20E型へ移行し、スーパー耐久という過酷な環境で冷却性能や重量配分、車体挙動、信頼性を鍛えてきた。一時は想定した性能を得られず参戦を見送ったものの、改良を重ねて2025年の岡山大会で初出走し、2026年には富士24時間レースにも参戦している。こうした「走らせ、壊し、直す」開発手法は、GRヤリスやGRカローラにも用いられてきたTGRの基本姿勢だ。ただし、市販車のボディーが2人乗りクーペになるのか、現在のGRヤリスに近い形状になるのか、後輪駆動仕様が用意されるのか、MTとATの両方を設定するのかについては、まだ明らかにされていない。

【引用:Toyota】仮にこの技術がMR2として市販化されれば、GR86、GRヤリス、GRカローラとは明確に異なる、新たなGRスポーツの柱になる可能性がある。とりわけミッドシップと四輪駆動の組み合わせは、歴代MR2の軽快さをそのまま再現するものではなく、現代の高出力に対応した新しい解釈になるだろう。一方で、CFRPの大量採用、アクティブエアロ、400馬力超のハイブリッド、手頃な価格といった情報は、現時点では公式に確認されていない。確かなのは、トヨタが新型2.0リッターターボを搭載したミッドシップ4WD車を実際に製作し、レースの現場で改良を続けているということだ。MR2という名が与えられるかどうかはまだ分からないが、20年近く空席だったトヨタの量産ミッドシップスポーツが復活へ近づいている――そう期待させるだけの具体的な開発は、すでに始まっている。