「フォルクスワーゲン『CC』」、“美しさで勝負した最後のドイツ車”…合理の時代に抗った名車

【引用:フォルクスワーゲン】フォルクスワーゲンCCは、かつて「パサートの派生モデル」と軽視されながらも、その存在でブランドイメージを一変させた。2008年、フォルクスワーゲンが「実用的なクーペ」という新たな価値観を掲げて世に送り出したこのモデルは、セダンとクーペの境界を曖昧にしながらも美学を追求した。結果として世界累計27万台以上を販売し、「エンジンより先に感性が伝わるフォルクスワーゲン」という評価を確立した。

【引用:フォルクスワーゲン】この車の登場は、まさに時代の転換点だった。メルセデス・ベンツCLSが築いた4ドアクーペの流れを、フォルクスワーゲンはより現実的な価格帯で再定義。BMW 3シリーズやアウディA5のようなプレミアムセダンが「憧れ」の存在だった時代に、CCはその間隙を突き、「手が届く美しさ」を実現した。SUVが主流となった今でも、その流麗なシルエットを街で見かけると、思わず振り返る人は少なくない。

【引用:フォルクスワーゲン】CCの魅力は、単なるスタイリングだけに留まらない。車高を通常のパサートより約50mm低く抑え、ACC(アダプティブシャシーコントロール)による3段階可変サスペンションを搭載。硬さと柔らかさを自在に切り替える足回りが、快適性とスポーティさを両立させた。「Comfort Coupe」という名が示す通り、刺激より静寂、スピードより品格を求めた設計思想が息づいている。

【引用:フォルクスワーゲン】デザインの完成度も特筆すべきだ。フレームレスドアや流れるルーフライン、VWエンブレムを兼ねたトランクオープナーなど、どの角度から見ても緊張感と節度が共存する。インテリアは派手さを排した水平基調のデザインで、センターコンソールに置かれたアナログ時計がクラシックな趣を添える。上質な素材を見せびらかすのではなく、触感と操作性で勝負する――それがCCの哲学だった。

【引用:フォルクスワーゲン】フォルクスワーゲンCCは2017年に「アルテオン」へとバトンを渡し、歴史の表舞台から姿を消した。しかし、そのDNAは今も息づいている。現代のアイオニック6やCLAのようなクーペ型EVに見られるデザイン思想の多くが、CCが切り拓いた道の延長線上にある。エンジンの鼓動や金属の響きが感性の一部だった時代、その最後の輝きがフォルクスワーゲンCCだった。

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