「ハイブリッドの王者」トヨタが3期連続減益、中国EV・中東リスクで壁にぶつかったのか

引用:トヨタ自動車
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トヨタ自動車が2027年3月期の業績見通しを市場予想を大幅に下回る水準で発表した。ハイブリッド車の販売が堅調に推移するなか、中東情勢の不安定化と中国の電気自動車メーカーによる攻勢が重なり、収益性の大幅な悪化を見込む。電気自動車への移行が進む局面においても安定的と評価されてきたトヨタがグローバルリスクの影響から逃れられていないとの分析も業界に広がっている。

営業利益20.3%減の見通し

トヨタが発表した2027年3月期の業績見通しは、営業利益が前期比20.3%減の3兆円となる。純利益も22.0%減の3兆円を見込む。売上高は51兆円と微増を見込む一方、収益性は大きく悪化する見通しとしている。特に市場予想との乖離が大きく、ブルームバーグがまとめた市場予想平均(約4兆6,000億円)を大幅に下回った。見通しどおりに推移すれば、トヨタの営業利益は3期連続の減益となる。

引用:トヨタ自動車
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中東リスクに中国車の攻勢

トヨタが最大の変数として挙げたのは中東情勢の不安定化だ。同社は中東情勢に起因するリスクだけで約6,700億円の利益押し下げ要因が生じると試算している。このうち約4,000億円は原材料価格上昇の負担となる。電気自動車市場の競争激化に伴い、バッテリー向け主要鉱物の価格動向やサプライチェーンの安定性も収益を左右する要因として注視されている。中国の電気自動車メーカーによる低価格攻勢も負担材料となっている。BYDをはじめとする中国ブランドが東南アジアと欧州市場で攻勢的な価格戦略でシェアを急速に拡大しており、既存の大手自動車メーカーへの圧力が強まっているとの見方も出ている。トヨタは2027年3月期の連結販売台数も前期比0.9%減の1,118万台程度になると見込んでいる。

引用:トヨタ自動車
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ハイブリッド車だけでは対応に限界も

引用:トヨタ自動車
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これまでトヨタは急激な電気自動車への転換ではなく、ハイブリッド車中心の戦略で安定した収益構造を維持してきた。グローバル市場でのハイブリッド車需要は依然として強く、トヨタも高い販売台数を維持している。しかし足元では、地政学的リスクと原材料価格の上昇、サプライチェーンの不安定化が同時に重なり、従来の戦略だけでは対応に限界があるとの分析も出始めている。ただし円安は部分的に業績を下支えする可能性がある。トヨタは今期(2027年3月期)の為替前提を1ドル=150円と設定しているが、想定レートに対して円安水準(1ドル=156〜157円程度)で推移しており、実際の業績に対しプラスに働く可能性があるとの見方が示されている。業界関係者は「今や車両販売台数よりも地政学的リスクとサプライチェーンのリスク管理がより重要な時代となった」とし、トヨタの保守的な見通しはグローバル自動車市場全体への警鐘に近いと分析する。

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