「400人、解散」ソニー・ホンダEV合弁が休眠へ、4年で届かなかった市場投入の距離

引用:ソニー
引用:ソニー

日本を代表する電機と自動車の融合プロジェクトとして注目を集めていたソニーグループとホンダの電気自動車(EV)事業が、大幅な縮小を余儀なくされた。

ロイターおよび毎日新聞によると、両社は21日、合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ(SHM)」の事業規模を大幅に縮小し、従業員を親会社へ戻す方針を正式に発表した。

両社はこれまで進めてきたEV関連の製品・サービス開発について、現行の枠組みでは短期・中期的な市場投入が困難であると判断した。2022年に設立され、業界内外から高い期待を寄せられていた同プロジェクトは、4年を経て大きな転換期を迎えることとなった。

「AFEELA」開発中止の余波

今回の事業縮小は、3月に発表されたEVブランド「AFEELA(アフィーラ)」の開発・発売中止が直接的な契機となっている。当時SHMは、ホンダの電動化戦略の抜本的な見直しに伴い、当初計画していた技術や資産の活用が困難になったとして、第1号モデルおよび次期モデルの開発をすべて断念すると表明していた。

北米市場におけるEV需要の鈍化や、開発コストの高騰を受け、ホンダが独自のEV戦略を大幅に修正したことが、合弁会社の事業継続に決定的な影響を及ぼしたと分析されている。

従業員約400人は親会社へ復帰

発表によると、SHMに所属していた約400人の従業員は、本人の希望に基づき原則としてソニーまたはホンダへ再配置される。中核となる開発人材が親会社へ戻るため、会社自体は存続するものの、車両開発活動は実質的に停止する「休眠状態」に入る公算が大きい。

なお、両社は「モビリティの進化に貢献するという設立当初の理念は共有している」としており、今後はソフトウェアを活用したユーザー体験(UX)の創出など、異なる形態での協業の可能性について引き続き議論を行う方針だ。

自動車産業の高い壁と「日本連合」の課題

業界関係者は今回の事態を、莫大な資本を投じる自動車産業の参入障壁の高さと、グローバルなEV市場の不確実性を示す象徴的な事例と評価している。ソニーのデジタル技術とホンダの製造能力を結集した「日本連合」の戦略転換は、米国や中国のEVメーカーが攻勢を強める中、国内自動車産業の構造的な難しさを改めて浮き彫りにした。

ソフトウェア中心のモビリティ(SDV)というビジョンは依然として有効である一方、自動車本体のハードウェア開発を伴わない協業の実効性については、当初から懐疑的な声も存在した。ソニーが自動車製造に伴うリスクから距離を置き、改めてエンターテインメントやソフトウェア事業という本業の競争力強化に注力する姿勢を強める中、両社による野心的なEV開発プロジェクトは、事実上の終止符が打たれる可能性が極めて高い。

あわせて読みたい

関連キーワード

コメントを残す

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

こんなコンテンツもおすすめです

CP-2023-0299-36689291-thumb
「充電中に稼げる」EV各国に広がる"電力売買"、英国では料金ゼロどころか収入まで生まれた
CP-2024-0164-36685919-thumb
「眠いと判断されたら走れない」米国が全新車への搭載を義務化、運転者監視システムが持つ"止める権限"
CP-2024-0164-36685968-thumb
「EVは死んでいない」欧州で新車5台に1台がBEV、"失速"報道の裏に隠れた数字
CP-2023-0083-36677291-thumb
渋滞地獄が生んだ怪発明、シート下トイレを量産しようとしている中国EVの本気
CP-2024-0164-36686153-thumb
「1,000kmを1本で走れる」CATLが世界に突きつけた新電池、日本勢との差はさらに広がるか
Depositphotos_702143022_S
「ECOモードで燃費が悪化?」都市部ドライバーが知らない制御の落とし穴、正しい使い分けとは
CP-2022-0024-36671225-thumb
「空間に乗れ」レクサスのミラノ宣言が問い直す、ラグジュアリーの本質
CP-2025-0371-36666553-thumb
高級SUVはなぜ小さくなるのか、ベントレーが示した新しい市場戦略