
2024年3月、英国ウェールズ在住のオーウェン被告(33)は、運転中のジャガーI-PACEが制御不能で加速し続け、ブレーキも効かないと999番に通報した。警察が急行し、車両はマージーサイドの高速道路を約35分、38マイル(約61km)にわたり時速86マイル(約138km/h)で走り続けた。警察車両と31回衝突した末、3台に囲まれてようやく停止した。

だが調査で真相は一変した。車両にブレーキや加速装置の欠陥は見つからず、警察車両のドライブレコーダーには、最後の瞬間に被告自身がブレーキを踏んで停止させる姿が記録されていた。通報時点で車両はすでに完全に停車しており、通報内容自体が最初から虚偽だったことが判明した。背景には自動車ローンの滞納があり、追加融資を断られた直後の犯行だった。

検察は、被告が車両を欠陥車として処理させ金融負担を免れるため、意図的に故障を装ったと判断した。過ちを認めるどころか、事件から間もなくメディアにも虚偽の主張を広め、周到に組み立てた嘘で世論まで欺こうとしていた。当初は容疑を否認していたが、2026年6月25日にリバプール刑事裁判所で危険運転と詐欺2件について有罪を認めた。

同裁判所は8月3日、懲役4年3カ月の実刑と、計80カ月の運転禁止処分を言い渡した。英検察当局は「オーウェンは当時、車両を完全に制御していた」とし、「道路利用者や警察官に重大かつ十分に回避可能だったリスクを生じさせた」と指摘した。一人の虚偽通報が多くの人々の安全を脅かし、自身の人生も崩す結果となった。