「必ず保険金が出る!」という話は本当?…豪雨による浸水被害の保険でドライバーが注意すべき点

記録的な豪雨が繰り返されるなか、国内でもアンダーパスや低地の道路、駐車場にあった自動車が水に浸かる被害が相次いでいる。浸水した車両は外見上問題がないように見えても、エンジンや電気装置、車内に致命的な損傷を受けている可能性がある。

浸水被害を車両保険で処理できるのか、保険金を受け取った場合に翌年の保険料がどう変わるのかも、ドライバーの主な関心事だ。さらに、通行が制限された道路に進入したり、危険を認識しながら運転を続けたりした場合には、道路交通法上の責任まで問題になる可能性がある。

国内の自動車保険と道路交通法を基準に、冠水道路を走行する際の注意点と事故後の対応方法を整理した。

道路交通法には、「冠水道路への進入」を一律に禁止する個別の規定はない。そのため、道路に水がたまっているという事実だけで、直ちに交通法規違反が成立すると断定することはできない。

ただし、道路交通法第70条は、運転者に対し、道路や交通、車両の状況に応じて、他人に危害を及ぼさない速度と方法で運転する義務を課している。いわゆる「安全運転義務」だ。

水深を確認できなかったり、車両を制御するのが難しいほど水かさが増した道路に無理に進入し、ほかの車両や歩行者に危険を及ぼした場合には、事故当時の状況によって安全運転義務違反が問題になる可能性がある。

警察や道路管理者が標識や遮断設備などを設置し、通行を禁止または制限している場合は、さらに明確だ。道路交通法第8条第1項により、運転者は道路標識などによって通行が禁止または制限された区間に進入してはならない。豪雨で閉鎖されたアンダーパスに遮断機や通行禁止標識が設置されている場合、それを無視して進入してはならないということだ。

道路交通法第71条第1号も、水たまりやぬかるみを通過する際には徐行するなどの措置を取り、汚水や泥を跳ね上げて他人に迷惑をかけないよう定めている。比較的浅い水たまりでも、歩行者がいる場合は十分に速度を落とさなければならない。

冠水道路に進入した結果、衝突事故や人身被害、他人の財産への被害が発生した場合には、道路交通法第72条に基づく措置も必要となる。運転者は直ちに停止し、負傷者を救護してさらなる危険を防止したうえで、事故の場所や被害状況などを警察に届け出なければならない。

ただし、車両が浸水して動けなくなったという理由だけで、すべての状況に第72条が自動的に適用されるわけではない。衝突や人身・財産被害が発生した交通事故に当たるかどうかによって、適用の有無は異なる。

冠水道路の危険性は実際の試験でも確認されている。日本自動車連盟(JAF)が2024年、電気自動車やハイブリッド車、ガソリン車を対象に実施した試験では、水深30cmの区間を時速30kmで走行した車両はいずれも区間を走り切った。しかし、アンダーカバーやホイールカバーなどが外れ、エンジンルームや車内に水が入り込んだ。

水深60cmでは、時速10kmと30kmで通過した車両もあったが、エアクリーナーが濡れ、車内に大量の水が流入した。時速40kmで走行したガソリン車は区間を最後まで通過できず、28.5m地点で停止した。電気自動車も走行自体は可能だったものの、複数のシステム警告灯が点灯した。

冠水区間を抜けたからといって、車両が正常だという意味ではない。高い速度で進入するほど多くの水がエンジンルームに押し込まれ、吸気系統や電装品が損傷する危険も高まる。

自分の車に発生した浸水被害を補償するのは、任意の自動車保険に含まれる「車両保険」だ。強制保険である自動車損害賠償責任保険、いわゆる自賠責保険は、交通事故の被害者の人的損害を補償する制度であるため、自分の車の修理費は支払われない。

車両保険は保険会社によって一般型やエコノミー型などに分かれる。エコノミー型では電柱への衝突などの単独事故を補償しない場合があるものの、台風や洪水、高潮による浸水被害は、一般型とエコノミー型のいずれでも補償する商品が一般的だ。

ただし、具体的な補償範囲は保険会社や商品によって異なるため、加入している契約の約款を確認する必要がある。車両保険に加入していなければ、豪雨によって自分の車が浸水しても修理費の補償は受けられない。

地震や火山の噴火、それに伴う津波による被害は、一般的な車両保険では補償対象外となる。こうした危険に備えるには、「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」のような別途の特約が必要だ。

浸水被害で車両保険金を受け取ると、ノンフリート等級は一般的に事故1件につき1等級下がる。これを「1等級ダウン事故」という。これに加え、事故がある契約者に適用される比較的低い割引率が1年間適用され、次回更新時に保険料が上がる可能性がある。

そのため、修理費がそれほど高くない場合には、受け取る保険金と今後の保険料の増加分を比較する必要がある。一方、エンジンや電気系統、車内全体が損傷した場合には修理費が高額になる可能性があり、保険を使う方が有利となる可能性が高い。

通行禁止区間に進入したという事実だけで、車両保険が自動的に無効になるわけではない。一般的に車両保険は、運転者の過失によって発生した偶然の事故も約款上の補償範囲に含んでいる。

しかし、運転者に故意があった場合や、約款上の免責に当たる重大な事情が認められた場合には、保険金の支払いが制限される可能性がある。明確な通行禁止標識や遮断設備を無視して冠水区間に進入した場合、保険会社は事故当時の状況や損害発生との因果関係などを調査する可能性がある。

交通法規違反の有無と保険金が支払われるかどうかは、別々に判断される点も重要だ。道路交通法違反があったからといって保険金が必ず支払われないわけではなく、反対に法規違反で処罰されなかったからといって無条件に補償されるわけでもない。最終的な補償の可否は、加入している契約の約款と事故の経緯に応じて個別に決定される。

水が引いた車両は、自分でエンジンをかけてはならない。国土交通省は、外見上問題がないように見えても、感電や電気系統のショートによる火災が発生する可能性があると警告している。

一般的なエンジン車では、安全に作業できる場合、12Vバッテリーのマイナス端子を外すよう国土交通省が案内している。一方、電気自動車やプラグインハイブリッド車、ハイブリッド車は高電圧バッテリーを搭載しているため、運転者が自分で対処せず、整備業者に連絡しなければならない。

保険金を請求するため、被害状況を記録しておくことも重要だ。車両全体と周囲の状況が分かる写真、水位の跡を確認できる近接写真、車両の前後と両側面を撮影しておくのが望ましい。契約車両であることを確認できるよう、ナンバープレートが写った写真も残しておく必要がある。

ただし、ドアを開ける際に水がさらに入り込み、損傷が広がる可能性がある。車内は無理に撮影せず、保険会社や整備業者の案内を受けてから確認する方が安全だ。

道路交通法は、冠水道路への進入を個別の条文で全面的に禁止しているわけではない。しかし、道路や車両の状況に応じて安全に運転しなければならないという第70条の義務が適用され、警察や道路管理者が通行を制限した区間では、第8条に基づいてその指示に必ず従わなければならない。

冠水道路に無理に進入して事故を起こした場合には、交通法上の責任だけでなく、保険の補償手続きでも事故の経緯が詳しく調査される可能性がある。だからといって、通行禁止違反があったという理由だけで保険金が機械的に支払われなくなるわけではない。法規違反の有無と保険補償の可否は、それぞれの基準に基づいて判断される。

台風や洪水による車両の浸水は車両保険で補償を受けられるが、保険金を使うと一般的に翌年の等級が1段階下がり、一定期間、低い割引率が適用される。地震・噴火・津波による被害は、通常の車両保険だけでは補償されない点も覚えておく必要がある。

何より重要なのは、冠水道路に進入しないことだ。実際の道路では、水深だけでなく、開いたマンホールや見えない排水路、強い水流なども確認しにくい。水が引いた後も自分でエンジンをかけず、保険会社や販売店、または整備業者に連絡することが、さらなる被害を防ぐ最も安全な対応だ。

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