「車を買っても、支払いは終わらない?」 NVIDIAもGoogleも参戦したSDVで、機能は月額で売られる時代へ

引用:BMW
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自動車産業の競争のあり方が変わっている。製造競争を超え、ソフトウェアと人工知能(AI)、半導体、データが企業の競争力を左右している。ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV・Software Defined Vehicle)は、自動車の進化にとどまらず、産業全体のバリューチェーンと競争構造を変えている。

車両の競争力の軸が機械性能からソフトウェア、AI、コンピューティング性能へ移る中、完成車メーカーの提携先も変化した。NVIDIA、Qualcomm、Google、Amazon Web Services(AWS)などの世界的なテクノロジー企業が、車載半導体、オペレーティングシステム、クラウド、AIプラットフォームを武器に、自動車産業の中核的な存在となっている。製造技術を中心に形成されてきた自動車産業が、ソフトウェア・エコシステムを中心に再編されているとの見方が出ている。NVIDIAは車載AIコンピューティングプラットフォーム「DRIVE」を、Qualcommは車載半導体とソフトウェアを組み合わせた「Snapdragon Digital Chassis」を供給している。

市場の成長も急速だ。市場調査会社BCCリサーチがリサーチ・アンド・マーケッツを通じて公開した報告書によると、世界のSDV市場は2024年の3,912億ドル(約61兆5,300億円)から、2025年には4,754億ドル(約74兆7,800億円)へ拡大したと推計された。2030年には1兆6,000億ドル(約251兆6,600億円)に達する見通しだ。2025年から2030年までの年平均成長率は27.3%とされる。完成車メーカーが車載オペレーティングシステム(OS)やAI、クラウドプラットフォームの開発に積極的に投資する背景となっている。

SDVは自動車メーカーの収益構造も変えている。従来は車両を販売する時点で大半の収益が発生していたが、今後は無線ソフトウェアアップデート(OTA)で機能を追加し、オンデマンド機能(FoD・Functions on Demand)やAIサービスを提供することで、販売後も収益を上げられるためだ。

あるソフトウェア開発者は「SDV時代が本格化すれば、スマートフォンやオンライン動画配信サービス(OTT)のように、必要な機能をサブスクリプションで利用する方式が自動車でも次第に一般化するだろう」とし、「車もハードウェアを購入するだけでなく、ソフトウェアサービスを継続的に利用する形へ変わるだろう」と述べた。

代表例がTeslaだ。Teslaは先進運転支援システム「Full Self-Driving(Supervised)」(FSD)を、米国など一部市場で月額制により提供している。米国での料金は月額99ドル(約1万5,600円)だ。

この変化は完成車メーカーを超え、自動車産業のエコシステム全体へ広がっている。車両の頭脳に当たる高性能車載コンピューター(HPC・High-Performance Computer)や車載OS、AIプラットフォームの重要性が高まる中、自動車メーカーは世界的なテクノロジー企業との提携を拡大している。

引用:メルセデス・ベンツ
引用:メルセデス・ベンツ

NVIDIAとQualcommは高性能車載半導体とAIコンピューティングプラットフォームを供給し、AWSとGoogleは車載ソフトウェアの開発やデータ処理に必要なクラウド・生成AI環境を提供している。ルノーグループのEV・ソフトウェア子会社アンペアは、Google Cloudと生成AIをSDV開発に活用しており、AWSはQualcommなどと車載ソフトウェアの開発・試験環境を構築している。

自動車部品業界の競争のあり方も変わっている。従来は電子制御ユニット(ECU)など、個別の電装部品を供給することが中心だったが、SDV時代には車両機能を統合制御するHPC、ゾーンコントローラー、車載ソフトウェアプラットフォームを一体で提供する能力が重要になっている。

ボッシュは、インフォテインメントと運転支援機能を1つの半導体で処理する統合型車載コンピューターと、AIベースの車載プラットフォームを開発している。コンチネンタルの旧自動車事業部門から分社したオモビオ(AUMOVIO)は、車内からクラウドまでをつなぐSDVプラットフォーム、HPC、ゾーンコントローラー事業を拡大している。

韓国の現代モービスも、電気・電子アーキテクチャを基盤に、車種を問わず適用できる標準化されたSDVプラットフォームを開発している。車載ハードウェアとソフトウェアを一体で供給する統合プラットフォームを武器に、世界の完成車メーカーを開拓する戦略だ。

自動車業界は、SDVを単なる車両技術ではなく、自動車産業の競争のあり方とバリューチェーンを再編する転換点とみている。完成車メーカーが車両の中核ソフトウェアとデータを直接掌握する場合、既存の部品メーカーとテクノロジー企業の役割や収益配分の方式も変わる可能性がある。一方、特定の半導体やOSへの依存度が高まる場合、自動車メーカーの技術的な主導権が弱まる可能性があるとの懸念も出ている。

業界関係者は「今後は自動車をどれだけうまく製造できるかだけでなく、ソフトウェアプラットフォームやAI、半導体、データ・エコシステムをどれだけ安定的に確保し、サービスを継続的に提供できるかが競争力を左右するだろう」と述べた。

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