カロッツェリアはイタリアだけのものじゃない!? 奥山清行氏が日本の職人技で組み上げたスーパーカー「コード89」

引用:Ken Okuyama Cars
引用:Ken Okuyama Cars

日本が生んだ屈指のスーパーカーが、ついにベールを脱いだ。世界的なカーデザイナーの奥山清行氏が率いるカロッツェリア、Ken Okuyama Carsが新型スーパーカー「コード89(Kode89)」を発表した。同車は8月16日、米カリフォルニア州で開催された世界的なクラシックカーの祭典「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で初公開された。

コード89の心臓部には自然吸気V型12気筒エンジンを搭載し、近年では希少となった6速MTを組み合わせる。電動化と自動運転化が主流となる中、あえてアナログな感覚と純粋な運転の楽しさを前面に押し出した一台だ。

さらに同車は「メイド・イン・ジャパン」、つまり日本の職人精神を余すところなく込めたスーパーカーという点でも特別だ。イタリアの専売特許とされてきたカロッツェリア文化を日本で花開かせようとする試みでもある。大量生産されるスーパーカーではなく、1台1台に職人の手仕事と哲学を吹き込むという点で、一般的なスーパーカーとは一線を画す。

コード89最大の魅力は、やはり純粋さを極限まで追求したパワートレインにある。心臓部には大排気量の自然吸気V型12気筒エンジンを採用し、人工的な過給に頼らず、エンジン本来の力と音を余すところなく伝える。さらに、ドライバーが自らギアを操作する6速MTを組み合わせ、機械と人が一体になるような刺激的な没入感をもたらす。ATが当たり前となった現在では、こうした構成はむしろ貴重で大胆な選択といえる。

駆動方式はエンジンを車体中央に配置するミッドシップで、理想的な重量配分と鋭いハンドリングを狙った。本格スーパーカーの王道を忠実に踏襲している。骨格となるフレームには、この車のために特別に開発したアルミニウム製スペースフレームを採用し、軽さと剛性を兼ね備えた基本性能を実現している。

さらに、顧客の要望に応じて複数種類の12気筒エンジン仕様から選べるよう、カスタム製作の余地も設けている。画一的な量産車とは異なり、自分だけの1台に仕上げられる。このようにコード89は華やかな先端技術を前面に出すのではなく、エンジン、トランスミッション、車体という自動車の本質的な要素一つ一つに力を注いでいる点が際立つ。純粋な機械としての自動車が持つ魅力を、現代によみがえらせようとする試みといえる。

コード89には特別な意味も込められている。同車はKen Okuyama Carsがデザインスタジオ設立20周年を記念して送り出すフラッグシップモデルだ。ブランドの真髄を凝縮した象徴的な作品といえる。名称に含まれる「89」という数字にも特別な意味がある。これはクラシックカーの黄金期とされる1989年へのオマージュだ。華やかなスーパーカーが次々と登場し、自動車文化が花開いた当時のロマンを、現代の技術でよみがえらせようとする意思がうかがえる。

何より同車が強調しているのは「メイド・イン・ジャパン」の価値だ。日本ならではの繊細な職人精神と、人の手仕事を重視するアナログな精神を現代的に融合することに重点を置いている。さらに、イタリアで花開いたカロッツェリア、すなわち小規模な工房が手作業で名車を生み出す文化を日本で実現しようというビジョンも込められている。

同ブランドを率いる奥山清行氏は、かつてイタリアの名門デザインハウス、ピニンファリーナでチーフデザイナーを務め、多くの名車を手掛けた人物で、その経歴がコード89にも色濃く反映されている。世界で培ったデザイン感覚と日本ならではの職人精神が融合し、この1台に凝縮されているといえる。単に速い車を作ることを超え、自動車という存在に文化的な意味を持たせようとする明確な方向性がうかがえる。

まとめると、Ken Okuyama Carsの新型スーパーカー、コード89は単なる高性能車を超え、一つの哲学と文化を込めた作品といえる。自然吸気V12と6速MTという純粋な組み合わせで運転の本質に迫り、アルミニウム製スペースフレームとミッドシップ構造によって、本格スーパーカーとしての基本を忠実に固めている。

そこに設立20周年と1989年の黄金期へのオマージュ、さらにメイド・イン・ジャパンの職人精神まで重ね合わせた。性能数値や快適装備を前面に押し出す一般的な新車の話題とは異なり、自動車が持つべきロマンと文化を語っている点で、コード89は特別な響きを持つ。

電動化の波が押し寄せる中、あえてアナログの魅力を正面から打ち出したコード89は、それ自体が強い存在感を放つ。イタリアのカロッツェリア文化を日本でよみがえらせようとする試みが、今後どのような成果につながるのかも注目される。8月16日、ペブルビーチでその姿を現したコード89が、世界のスーパーカー界でどのような反響を呼ぶか注目される。

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