
マツダが中国勢の急速な台頭とグローバルEV市場のキャズム(需要の一時的な鈍化)の中で、同社を代表するフラッグシップSUV「CX-5」の新型モデルを発売した。
EV需要の変動に対応するため関連投資を圧縮する一方で、市場での需要が実証されたハイブリッドラインナップと内燃機関の高度化に注力する方針を示した。
マツダは都内で記者会見を開き、グローバル販売を牽引する3代目新型「CX-5」を発表した。2017年の2代目以来、9年ぶりのフルモデルチェンジとなる。
新型CX-5の主な特徴と販売戦略
マツダ初のGoogle搭載インフォテインメントシステムを採用、欧州で好調な滑り出し
マツダの毛籠勝弘社長兼CEOはこの日の会見で、「CX-5はブランドの中核を担う主力モデルであり、今回の新型SUVはマツダの技術力と職人気質が結集した自信作だ」と強調した。
3代目CX-5はマツダ車として初めてGoogleの車載インフォテインメントシステムを標準搭載した。ドライバーは走行中に音声制御AI「Googleアシスタント」や「Googleマップ」など、様々なアプリをシームレスに利用できる。
また、既存モデルと比べてホイールベースを延長し、室内の居住性と乗り心地を大幅に向上させた。
新型CX-5の国内発売価格は330万円からで、月間販売目標を設定している。
昨年末に先行発売された欧州市場では受注が計画を上回るペースで推移しており、米国市場でも好調な滑り出しをみせている。
マツダは今会計年度のCX-5グローバル販売目標を35万台に設定した。マツダ全体の年間販売目標の4分の1超にあたる規模だ。
ディーゼル廃止とハイブリッドへの転換
ディーゼルを廃止しハイブリッドへ転換、EV目標も見直し
環境規制への対応を念頭に、マツダは今回の新型CX-5でディーゼルエンジンラインナップを廃止した。
代わりにガソリンエンジンとともに独自の「マイルドハイブリッド(Mハイブリッド)」モデルを前面に押し出し、翌年にはマツダ独自のフルハイブリッドシステム(SKYACTIV-Z搭載)を追加導入する計画としている。
注目されるのが、マツダのEV投資の見直しだ。マツダは先週、電動化投資総額を従来の1兆5,000億円から1兆2,000億円へ圧縮すると発表した。
EV販売目標比率についても従来計画から引き下げた。自社開発EVの投入時期も従来の2027年から2029年以降に延期した。
こうした動きは、ホンダが電気自動車事業で大幅な損失を計上した例や、GMやフォードなど欧米大手が電動化投資の重荷で収益を圧迫されている市場状況を踏まえたものとみられる。EV開発で出遅れていたマツダは、結果として過大な固定費の発生を避けられた形だ。
中国勢台頭とマツダの課題
中国勢の台頭と課題
現在マツダが直面する外部市場環境は厳しい。2025年3月期の販売台数は122万台にとどまった。
販売台数が以前のピーク時から大幅に縮小していることを示しており、特に米国市場ではトランプ政権の関税政策や補助金政策の影響を受け、プラグインハイブリッド(PHEV)販売が落ち込んだ。
その間、中国系自動車メーカーが国内外の市場シェアを急速に拡大してきた。マツダの世界市場シェアは低下が続いており、中国のBYDや吉利汽車に追い越された形となっている。
自動車専門調査会社マークラインズによると、BYDのグローバル市場シェアは近年急速に伸長した。吉利汽車も大幅にシェアを伸ばし、トヨタを除く日本の主要メーカーをいずれも上回る規模となっている。
しかし、マツダは過去に経営難の中から初代CX-5やMAZDA2などのヒット作を生み出し、業績を回復させた実績を持つ。
今年のグローバル総販売台数を前年比で増加させる目標を掲げており、毛籠社長は新型CX-5を軸にグローバル販売台数の積極的な拡大を目指す考えを示した。