
12日(現地時間)、電気自動車専門メディア「エレクトリック」によると、テスラCEOのイーロン・マスク氏は8日、X(旧ツイッター)で「テスラは従来の10倍のパラメータを持つ新しいFSDモデルを訓練中」と述べ、「今回のFSDソフトウェアアップデートは稀な状況下でも飛躍的な進歩を見せるだろう」と明らかにした。
マスク氏が強調した9月のFSDアップグレードの核心は、従来の10倍に拡張されたAIパラメータを活用する革新的なニューラルネットワーク構造にある。AIモデルはパラメータ数が多いほど複雑なパターンを学習し、多様な情報を処理できる。この仕組みにより、FSDはこれまで対応が難しかった道路上の障害物や駐車場内での経路探索など、人間に近い状況判断を実現できると期待されている。
映像処理においても大幅な改良が施された。これまでFSD車両はカメラ映像をリアルタイムで解析して運転判断を行ってきたが、動画圧縮時に画質情報が失われるリスクが存在した。新しいFSDモデルはこの問題を克服し、夜間や逆光、霧などの厳しい環境下でも鮮明なデータを提供できるようになった。
さらにマスク氏は、今回のアップデートによってFSD使用時にドライバーへ道路注視を促す警告(nag)が大幅に減少することを強調した。
一方で、単に警告が減少するだけではFSDの本質的価値を実現できないとの指摘もある。エレクトリックは「FSDの価値の99%は、テスラがシステムの責任を直接負う無監督運転にある。しかし、これは現行の技術レベルではまだ遠い未来の話だ」と伝えている。
同メディアによれば、現在のデータではテスラFSDは400~500マイル(約644~805キロ)ごとに重要な介入が必要とされており、パラメータ増加を適用しても改善幅は従来の約2倍にとどまるという。顧客車両における無監督自動運転の実現には数年を要する可能性が高い。
完全自動運転という名称とは裏腹に、依然として高度運転支援システムの域を出ていないテスラFSD。今回のアップデートでどこまで実質的な進化を示せるのか、注目が集まっている。