燃費節約のつもりが逆効果、車を壊す“あの習慣”

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません

信号で停止した際、トランスミッションのギアを「ニュートラル(N)」に入れる光景を、誰もが一度は目にしたことがあるだろう。燃料節約のテクニックのように見えるが、専門家は「その習慣が逆に車に負担をかける」と指摘する。停車中に「ドライブ(D)」からNに切り替える行為は、一見些細だが予想外に大きな影響を及ぼす。

信号待ちのたびにNに?その小さな習慣がトランスミッションを蝕む

一般的なオートマチックトランスミッション(AT車)は、「D」状態でも停止時にブレーキを踏んでいれば問題ない。メーカーはこれを前提に冷却と潤滑システムを設計している。

しかし、毎回Nに切り替えると油圧バルブとクラッチが不必要に作動する。これが繰り返されると摩耗が蓄積され、最終的には変速ショックや油圧低下を引き起こす可能性がある。エンジン負荷を減らそうとしたつもりが、実際にはトランスミッション本体に余計な負担をかけていると言える。

燃費改善効果もほとんどない。アイドリング中の燃料消費はギア位置とほぼ無関係だからだ。NからDに戻す際に油圧が再形成され、むしろわずかなエネルギーロスが生じる。

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません

さらに、ブレーキから足を離すとブレーキランプが消灯し、後続車が車両の停止を認識しづらくなるという安全上の問題がある。わずかな傾斜でも車両が動き出すクリープ現象がなくなるため、かえって危険性が増す。

デュアルクラッチトランスミッション(DCT)や無段変速機(CVT)搭載車には例外がある。渋滞する上り坂など熱がこもりやすい状況では、一時的にNやP(パーキング)に入れてクラッチの負担を軽減するようメーカーが推奨する場合もある。

だが、こうしたケースは限定的だ。大半の都市部での信号待ちでは、わざわざNに切り替える必要はない。

ハイブリッド車では致命的…「N習慣」がバッテリーを消耗させる

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません

問題はハイブリッド車(HV)だ。N位置ではバッテリー充電が停止するため、長時間待機すると放電や再始動不能に陥る可能性がある。

実際、取扱説明書にも「長時間のNレンジ使用禁止」と明記されている。つまり、ハイブリッド車での「N習慣」は単なる無駄ではなく、潜在的な故障要因となる。

専門家は「自動車は設計された通りに使用するのが最も安全で合理的だ」と助言する。足が疲れたらオートブレーキホールド機能を利用するか、長時間停車時は「P」に入れてパーキングブレーキをかければよい。不要なシフト操作は車にも運転者にもメリットがない。

信号待ちでのその小さな動作が、実は車を徐々に疲弊させているかもしれない。些細な習慣が高額な修理費につながる前に、今こそ改める時である。

あわせて読みたい

関連キーワード

コメントを残す

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

こんなコンテンツもおすすめです

CP-2023-0065-33325548-thumb
「豪華なのにエコ?」エマ・ワトソンの自動車コレクションの中の答え
CP-2023-0186-33296587-thumb
アメリカの名を冠し中国技術を採用 ラム・ダコタの立ち位置はどこに
CP-2023-0094-33302061-thumb
『パフォーマンス-B STI』、最後のターボBOXERか!?電動化時代に放たれた狼煙
Depositphotos_738430294_L
「目的地周辺です」、まだ聞こえるなら旧型ナビの可能性があるかも?
CP-2025-0132-33481613-thumb
「もうバイクも電気?」広がる中国製の波、低価格の裏に潜むリスクは
CP-2023-0065-33327443-thumb
「生産停止中に“次期V8”が走った」ランドローバー、ハッキング危機下でも開発続行か
CP-2023-0070-33320709-thumb
日本の小型SUVが世界を走る!ジムニー輸出10万台突破で“日本車の底力”示す
CP-2023-0065-33325085-thumb
「ステンレスボディは盾になるか?」ラスベガス警察の挑戦、結果は?
  • アクセスランキング

    「豪華なのにエコ?」エマ・ワトソンの自動車コレクションの中の答え
    アメリカの名を冠し中国技術を採用 ラム・ダコタの立ち位置はどこに
    『パフォーマンス-B STI』、最後のターボBOXERか!?電動化時代に放たれた狼煙
    「目的地周辺です」、まだ聞こえるなら旧型ナビの可能性があるかも?
    「もうバイクも電気?」広がる中国製の波、低価格の裏に潜むリスクは
    「生産停止中に“次期V8”が走った」ランドローバー、ハッキング危機下でも開発続行か
    日本の小型SUVが世界を走る!ジムニー輸出10万台突破で“日本車の底力”示す
    「ステンレスボディは盾になるか?」ラスベガス警察の挑戦、結果は?
    「究極の10台」モーターショーより熱い、メーカーと職人が激突する2025年SEMAショー
    「殺傷武器と化した偽エアバッグ」、中国製偽エアバッグを警告

    最新ニュース

    CP-2023-0065-33325548-thumb
    「豪華なのにエコ?」エマ・ワトソンの自動車コレクションの中の答え
    CP-2023-0186-33296587-thumb
    アメリカの名を冠し中国技術を採用 ラム・ダコタの立ち位置はどこに
    CP-2023-0094-33302061-thumb
    『パフォーマンス-B STI』、最後のターボBOXERか!?電動化時代に放たれた狼煙
    Depositphotos_738430294_L
    「目的地周辺です」、まだ聞こえるなら旧型ナビの可能性があるかも?
    CP-2025-0132-33481613-thumb
    「もうバイクも電気?」広がる中国製の波、低価格の裏に潜むリスクは
    CP-2023-0065-33327443-thumb
    「生産停止中に“次期V8”が走った」ランドローバー、ハッキング危機下でも開発続行か

    主要ニュース

    CP-2023-0065-33322990-thumb
    「究極の10台」モーターショーより熱い、メーカーと職人が激突する2025年SEMAショー
    CP-2023-0065-33308951-thumb
    「殺傷武器と化した偽エアバッグ」、中国製偽エアバッグを警告
    Toyota-Unveils-Camry-GT-S-Concept-2
    「カムリ史上最も攻撃的」トヨタの新しい実験、GT-Sが目指す次の章
    CP-2023-0065-33305243-thumb
    「20年ぶりの逆襲」日産SUV系の誇り、V6ツインターボで復活
    CP-2023-0094-33300187-thumb
    レクサス、LSの時代に終止符…“新しい感性”で未来を開く
    CP-2023-0065-33303497-thumb
    「冬の朝、ボンネットの中に命が」運転前の3秒が悲劇を防ぐ