
大切に乗ってきた車が火災で一瞬にして灰になれば、これほどむなしいことはない。車両火災は大規模な事故ではなく、ささいな原因から起きるケースが大半だ。東京消防庁の集計によると、2024年に発生した火災は計4,517件で、うち車両火災は245件、全体の5.4%を占めた。負傷24人、死亡1人だった。2015年は300件を超えていたが、2016年以降は200件台まで減少している。

原因別で最も多いのは電気系統で96件に達した。内訳は車両の配線25件、充電式電池24件、蓄電池11件の順となっている。目立たない配線やバッテリーが火災の主因となっている点が特徴だ。発生状況別では走行中94件、駐車中または停車中98件と大きな差はなく、車を止めていても火災は起こり得るため油断は禁物だ。

実際の事例を見ると原因のささいさが分かる。フォグランプの電球をマスキングテープで仮止めしていたところ、走行中の振動で緩み、火災を引き起こした例もある。別の事例では、エンジンオイル不足でピストンが固着しコネクティングロッドが破損、高温のオイルが排気管に噴き出し火災へと発展した。どちらも日常点検で防げた事例だ。

猛暑による自然発火の事例は確認されておらず、車両火災の危険は季節を問わず年間を通じて続く。だからこそ、法定点検の履歴をこまめに確認し、定期的な整備や点検を怠らないことが重要だ。異常の兆候があれば先延ばしにせず専門家の診断を受けたい。灰になってから後悔するより、ちょっとした点検で大切な車を守る方がはるかに賢明だろう。