「4WDは車を無敵にする魔法じゃない!」専門家が怒る、ドライバーの思い込みとその代償

引用:ボルボ
引用:ボルボ

四輪駆動(4WD)は、雪道、泥道、砂利道など、接地力が低い路面で強力な脱出能力を発揮する。特に前輪駆動や後輪駆動車が簡単にスタックする状況でも、四つのタイヤに駆動力を伝え、走行安定性を高める。

しかし、4WDは万能装置ではない。誤った使い方をすると、駆動系の損傷や高額な修理費用につながる可能性がある。特に4WDボタンを、車両を無敵状態にする機能のように考えるドライバーは少なくない。

まず知るべき駆動方式の違い

まず、駆動方式の違いを理解する必要がある。前輪駆動(FF)は前輪に、後輪駆動(FR)は後輪に動力を伝える。AWDは必要に応じて四輪に動力を配分する方式で、4WDはオフロード走行を重視した四輪駆動システムだ。

ただし、すべての4WDが常に作動するわけではない。一部の車両は普段は前輪または後輪中心で走行し、ドライバーの操作や車両の判断に応じて四輪駆動を作動させる。以下、4WD車のドライバーが陥りやすい5つのミスを解説する。

① 乾燥した舗装路で4WDを使う

最も一般的なミスは、乾燥した舗装道路で4WDを使用することだ。従来の4WDシステムは接地力が低い路面で低速で使用するように設計されている。

引用:フォード
引用:フォード

車両がコーナーを曲がるときは、左右のタイヤが異なる速度で回転する必要がある。しかし、4WD状態では前後の車軸が強固に連結されており、回転差を吸収しにくい。泥や砂ではタイヤが滑り、応力が逃げるが、乾燥したアスファルトでは駆動系に負担がそのまま蓄積される。

このとき、「ドライブトレイン・バインディング(Drivetrain Binding)」または「ワインドアップ(Wind-Up)」現象が発生する可能性がある。操舵時に車両がガクガクしたり、動きが硬くなり、タイヤ・車軸・トランスファーケースに負荷がかかる。

② 4H・4Lモードの使い分けを誤る

4WD車には通常4Hと4Lモードがある。4Hは高速四輪駆動モードで、雪道や砂利道のようにある程度の速度を維持する必要がある状況に適している。

一方、4Lは低速四輪駆動モードだ。ギア比を下げて低速でも強いトルクを伝える。悪路からの脱出、急な上り坂、重い牽引、急勾配の下り坂で有用だ。

問題となるのは、4Lを通常走行で使用するケースだ。4L状態で速度を上げると、エンジン回転数が過度に上昇し、トランスミッションや駆動系に負担がかかる。トランスミッションの過熱やクラッチの摩耗、ドライブトレイン・バインディングなどが発生する可能性がある。

引用:ジープ
引用:ジープ

③ タイヤの重要性を見落とす

4WDの性能は駆動系だけで決まるわけではない。タイヤも駆動系と同様に重要な要素だ。一般道路用タイヤは燃費、騒音、乗り心地、オンロードのグリップ力のバランスに合わせて設計されている。

一方、オフロードタイヤは泥、砂、砂利、岩など悪路での接地力確保に焦点を当てている。時にはオフロードタイヤを装着したAWD車が、一般タイヤを装着した4WD車よりも悪路で優れた性能を発揮することもある。

悪路を走行する予定があるなら、オールテレーンまたはオフロード用タイヤを検討する必要がある。長距離のオフロード走行では、スペアタイヤを必ず携行することが望ましい。一般道路用タイヤはオフロードで損傷しやすく、立ち往生の原因となることがある。

④ デフロックを舗装路で使う

多くの4WD車にはデフロック機能がある。ディファレンシャルは、タイヤや車軸が異なる速度で回転できるようにする装置だ。ロック機能を使用すると、特定のタイヤや車軸を強制的に同じ速度で回転させることができる。

センターデフロックは前後の駆動軸を強制的に接続する。これを活用すると、前後の車軸に動力を均等に伝えることができ、悪路からの脱出に役立つ。

引用:ランボルギーニ
引用:ランボルギーニ

ただし、舗装道路では使用してはならない。前後の車軸の回転差を吸収しにくく、駆動系の摩耗が急激に増加する可能性がある。悪路では強力な武器となるが、舗装路では駆動系にダメージを与える原因となる。

⑤ 路面に応じた空気圧調整をしない

雪道、砂、砂利道、土道のような柔らかい路面では、タイヤの空気圧をあらかじめ低めに設定しておくことが有効だ。接地面積が広がることでグリップ力が向上する。

障害物を越えるときも有利だ。正常な空気圧の状態では、タイヤが跳ねたり接地力を失いやすいが、空気圧を下げるとタイヤが障害物にフィットするよう変形し、接地性を維持しやすくなる。

もちろん、空気圧を下げた状態で高速走行してはならない。オフロード区間を抜けた後は、必ず適正な空気圧に戻す必要がある。

結局、4WDは万能の安全装置ではない。路面状態、走行速度、タイヤ、モード選択、デフロック機能を正しく理解しなければ、その性能を発揮できない。正しく使えば強力な武器になるが、誤って使えば逆に車両を傷める最も早道となりかねない。

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