
トヨタ自動車が2026年5月12日、教習専用モデルの新世代を市場に投入した。現行の12代目カローラをベースに全面刷新されたこの車両は、カローラおよびカローラ ツーリングの一部改良と同日に発表されている。ちなみにカローラシリーズは今年10月20日に誕生60周年を迎えるが、今回の教習車の世代交代もこうした商品展開の流れと軌を一にするものだ。
まずパワートレインの構成から見ていくと、2系統に分かれる。ひとつは1.8リッターのハイブリッドシステムにCVTを組み合わせたモデル、もうひとつは教習車専用として用意された1.5リッターガソリンエンジンと6速マニュアルトランスミッションの組み合わせだ。ベースとなるカローラ本体が全車ハイブリッドのAT仕様のみで構成されているのに対し、MT教習のニーズに応えるべく手動変速仕様を別途維持している点が特徴といえる。価格は消費税込みで、6速MT仕様が214万2800円、ハイブリッド仕様が240万200円に設定された。
先代の教習車は、すでに販売を終えた4ドアセダンのカローラアクシオをベースにしていたことから5ナンバー(小型車)規格にとどまっていたが、今回は全車が3ナンバー規格へと拡大された。ただし車名は従来どおり「カローラ教習車」ではなく「トヨタ教習車」のまま据え置かれ、フロントエンブレムもカローラを示す「C」マークではなくトヨタエンブレムに置き換えられている。見た目こそカローラそのものでありながら、車体のどこにもカローラの名は見当たらない仕立てだ。
プラットフォームについても12代目カローラと同様にTNGAを採用し、走行安定性と操縦性が大きく向上している。これに加え、Aピラーが細くダッシュボードが低く設計された現行カローラの特性がそのまま受け継がれており、視界の確保がよく死角も少ない。教習生にとっても車両感覚をつかみやすい構造であり、教習コースに必ず組み込まれるクランクやS字コースでも、従来の教習車より扱いやすくなるとの見方もある。
助手席側には指導員用の補助ブレーキ、後方確認用の補助ルームミラー、補助サイドミラーが備わり、スイッチ類の配置も操作しやすいレイアウトへと見直され、指導員の疲労軽減まで考慮されている様子がうかがえる。安全装備の面でも抜かりはなく、衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い防止機能、車線逸脱抑制機能などを含む「トヨタセーフティセンス」が全車に搭載された。免許取得を控えた予備運転者が最新の予防安全技術に早い段階で触れられる点も、今どきの教習車らしいポイントだ。
ボディカラーは白・黒・シルバーの3色のみの設定となるが、教習所ごとのデザインでラッピングされるケースが多いことを踏まえれば、実用面で不足はないラインナップといえる。