「ハイブリッドでも楽しいのか?」トヨタが語る走りの感性とスポーツ戦略

純粋な内燃機関を求めるマニアの熱望
規制と市場ニーズのはざまでのバランス
「面白くない車に意味はない」という哲学

引用:トヨタ 

トヨタは電動化の波に対応しながらも、「運転の楽しさ」を失わない姿勢を貫いている。10年以上前から「GRMNスポーツハイブリッドコンセプトII」や「GR HVスポーツ」などのコンセプトを発表し、電動化スポーツの可能性を模索してきたが、量産化には至っていない。一方で、純粋内燃機関スポーツカーを求めるマニアの声に耳を傾け、ICEとマニュアルトランスミッションの未来を強調する。

トヨタ・オーストラリアのショーン・ハンリー副社長は「公道用のハイブリッド高性能車の開発は技術的に可能」としつつも、「マニアがこのアイデアを受け入れるには時間がかかる」と語る。現状ではICEが依然として市場需要を満たしており、トヨタは急激なEV移行ではなく、ハイブリッドを段階的な橋渡しとする戦略を取る。

引用:トヨタ 
引用:レクサス 

内燃機関の魅力と新たな挑戦
規制対応の鍵となるハイブリッド戦略

内燃機関の魅力は依然として根強い。トヨタは、マニアが求める「Snap, Crackle and Pop」と形容されるサウンドや感性的な満足感を理解しており、「ICEとMTは長く存在し続ける」と明言。新型2.0リッターターボなど内燃パワートレインの開発も進めている。さらにGRヤリスのミッドシップ試作車など、将来のスポーツカーを視野に入れた研究も並行して行う。

一方で、ユーロ7規制など欧州の厳格な排出基準はICE単独では対応困難な段階に達している。トヨタにとってハイブリッドパワートレインは、ICEの魅力を残しつつ規制をクリアする合理的な解決策となる。レクサスが開発を進める次世代「LFR」ではV8エンジンに電気モーターを組み合わせ、強大なパワーと即応性を両立させる狙いだ。

引用:トヨタ 
引用:トヨタ 

「Fun to Drive」を支える電動化の活用
二重戦略で描くスポーツカーの未来

「面白くない車は車ではない」という哲学も、ハイブリッドスポーツ開発に直結する。トヨタはすべてのモデルに「Fun to Drive」を追求し、電動化を燃費改善だけでなく、加速性能や走行体験の向上に活用する。レース現場での技術検証を続けるのも、走りの楽しさを守るためだ。

最終的に市場がどう反応するかは未知数だが、トヨタはハイブリッドスポーツカーが魅力的な商品になると確信している。ICEとハイブリッドを組み合わせた独自のシナジーによって、マニアの期待に応えながら規制にも対応する。この二重戦略が、電動化時代におけるスポーツカーの未来像を形作っていくことになるだろう。

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