
1964年の登場とともに自動車業界にポニーカーというジャンルを切り開いたフォードを代表するマッスルカー、マスタングが、デジタルアーティストのMy Visionの手によって未来型コンセプト「The Metalbox」として生まれ変わった。実際の量産車ではなくデジタルレンダリングだが、マスタングのヘリテージを未来的に解釈した点が注目を集めている。

制作者が示した背景によると、今年上半期の7代目マスタング(S650型)の販売台数が3万台を下回り、電気自動車のマスタング・マッハEも46%落ち込んだ状況で、ファンが本当に求めるオリジナルのヘリテージとは何かを見極めた作業だという。販売の低迷を受けてマスタングのアイデンティティを問い直す問題意識が、デザインの出発点になった。

デザインは初代マスタングの象徴を現代的に再解釈することに主眼を置いた。初代の顔だった丸型ヘッドランプと3分割のテールランプを薄型LEDで再現し、ガラスと車体の境界をなくしたサイバー調のシルバーの外装で未来的な印象に仕上げた。見慣れた要素を残しながら、まったく異なる時代の感覚を取り込んでいる。

興味深いのはパワートレインの示唆だ。塞がれたグリルによって一見すると完全な電気自動車のようだが、側面に隠された排気口は高性能プラグインハイブリッド(PHEV)の可能性をうかがわせる。レトロな味わいと未来的なビジョンを結びつけたこのコンセプトは、マスタングというアイコンを次の時代へどうつなぐかについての一つの提案として読み取れる。