電気自動車時代でもフェラーリが過去最高の業績を達成 高価格戦略で突き進むプレミアムブランドの未来

フェラーリ史上最高の業績

電気自動車の時代でも記録的な成績

高価格戦略が功を奏した?

引用:ネイバー南車カフェ

2月4日、イタリアの高級スポーツカーブランド、フェラーリが昨年の業績を正式に発表した。昨年、過去最高の業績を記録した事を明らかにし、予想を上回る好成績を受けて株価も上昇に転じた。

電気自動車が世界的な潮流となっている今、フェラーリが電気自動車を生産していないにも関わらず、この好成績を収めたことは注目に値する。フェラーリというブランドの価値と名声から、常に愛される理由は理解できる。しかし、電気自動車が主流となる中で過去最高の業績を達成した背景には、巧妙な販売戦略が隠れている。

引用:USA Today
引用:Reddit

限定生産でも

高利益率で安定

その秘訣は高く設定された「利益率」にある。フェラーリの調整後償却前営業利益(EBITDA)は約26億8,000万ユーロ(約4,194億円)と推定される。EBITDAは企業の純粋な営業利益を示す指標で利息、税金、減価償却費を除いた利益を意味する。また、2025年の売上予想を従来の67億ユーロ(約1兆481億円)から70億ユーロ(約1兆951億円)に引き上げた。

これらの数字からフェラーリのEBITDAマージン(売上高に対するEBITDAの割合)を計算すると驚異の38.8%に達する。一般的な自動車メーカーのEBITDAマージンは平均して10%前後である。フェラーリは限られた台数の販売ながら、極めて高い利益率を基に多額の純利益を確保している。つまり、非常に高い価格設定をしていることがわかる。

引用:ArenaEV
引用:ArenaEV

10月に電気自動車を発売予定

単なるラインナップ拡充にとどまる

一方、フェラーリは今年10月に同社初の電気自動車を発売する予定だ。電気自動車は技術とバッテリーの関係で製造コストが高くなる傾向がある。また、電気自動車市場での価格競争が激化する中、過度に高い価格設定は消費者の反発を招く可能性がある。電気自動車は一般的に内燃機関車よりも利益率が低いにも関わらず、発売に踏み切る理由がある。

フェラーリのCEOであるベネデット・ヴィーニャ氏は「電気自動車への転換ではなく、電気自動車を(ラインナップに)追加するのだ」と述べ、「当社は歴史上初めて内燃機関車、ハイブリッド車、電気自動車など、すべてのラインナップを揃えることになる」と明かした。つまり、本格的な電動化への移行ではなく、単にラインナップに電気自動車を加えることでブランドの地位をさらに強化する狙いがあるということだ。内燃機関モデルを中心に高い利益率を維持しつつ、多様な顧客層を獲得する戦略だ。

引用:CNET
引用:Carwow

相次ぐスポーツカーの電動化

かけ離れた独自路線を歩むも業績上々

世界的に広がる二酸化炭素排出規制の中、自動車メーカーが生き残る道は環境に配慮した車を生産することだけだという分析が主流だった。多くの自動車メーカーがこの潮流に乗って電動化に取り組んでいる。特にイタリアの伝統的スポーツカーメーカー、ランボルギーニは電動化ロードマップ「ディレツィオーネ・コル・タウリ」を掲げ、昨年大きな支持を得た。

ランボルギーニはブランド史上初めて全モデルのラインナップをハイブリッド化するなど、様々な二酸化炭素排出削減プログラムを実施した。その結果、昨年ブランド史上最高の販売台数を記録した。電動化戦略によって厳しい規制の中でも生き残ることができたのだ。これとは対照的な販売戦略にもかかわらず、フェラーリが昨年記録的な業績を上げたことは電気自動車が主流の自動車市場に大きな波紋を投げかけることが予想される。

あわせて読みたい

関連キーワード

コメントを残す

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

こんなコンテンツもおすすめです

CP-2023-0065-29987144-thumb
「EVでもトランスファーは要る!」ステランティス、3段ギアで悪路に挑む…ジープ・リーコンが狙う“オフローダー新基準”
CP-2023-0030-29980657-thumb
「EVでも走りは妥協しない!」アウディ、Q5 eハイブリッドで次世代SUVへ…新PPCプラットフォームが示す“高効率の理想形”
CP-2023-0065-29934597-thumb
「速さも快適さも妥協しない!」ホンダ、2025年型タイプRでホットハッチ刷新へ…315馬力が宿す“新・日常性能”
CP-2023-0030-29937795-thumb
「13年目のSもまだ進化する!」テスラ、モデルS&Xを小改良…価格引き上げで狙う“再プレミアム戦略”
CP-2023-0065-29941830-thumb
「静かに速く、しかも気持ちいい!」新型プジョー3008が提案する“快適EV風SUV”…マイルドHVの限界を超えた実力とは?
CP-2023-0030-29961390-thumb
「電池もパワーも削らない!」シボレー、シルバラードEVでEVピックアップ再定義へ…“仕事で使える電動トラック”に本気の進化
CP-2023-0047-29944796-thumb
「ボタンもレバーも捨てた!」アウディ、新型Q3でインテリア革命へ…光とAIが導く“未来仕様のSUV”
CP-2022-0212-29943243-thumb
「ホンダ新型スーパーEVが世界初公開へ」パープル迷彩で登場、“走れるコンセプト”は量産前提?
  • アクセスランキング

    「EVでもトランスファーは要る!」ステランティス、3段ギアで悪路に挑む…ジープ・リーコンが狙う“オフローダー新基準”
    「EVでも走りは妥協しない!」アウディ、Q5 eハイブリッドで次世代SUVへ…新PPCプラットフォームが示す“高効率の理想形”
    「速さも快適さも妥協しない!」ホンダ、2025年型タイプRでホットハッチ刷新へ…315馬力が宿す“新・日常性能”
    「13年目のSもまだ進化する!」テスラ、モデルS&Xを小改良…価格引き上げで狙う“再プレミアム戦略”
    「静かに速く、しかも気持ちいい!」新型プジョー3008が提案する“快適EV風SUV”…マイルドHVの限界を超えた実力とは?
    「電池もパワーも削らない!」シボレー、シルバラードEVでEVピックアップ再定義へ…“仕事で使える電動トラック”に本気の進化
    「ボタンもレバーも捨てた!」アウディ、新型Q3でインテリア革命へ…光とAIが導く“未来仕様のSUV”
    「ホンダ新型スーパーEVが世界初公開へ」パープル迷彩で登場、“走れるコンセプト”は量産前提?
    「航続526km+防音強化+後席モニター」…テスラの新型モデルY、補助金込みで“買い時”に突入
    「トヨタbZ7にファーウェイAIと新アーキテクチャ」…中国主導で進化する“EVの再定義”

    最新ニュース

    CP-2023-0065-29987144-thumb
    「EVでもトランスファーは要る!」ステランティス、3段ギアで悪路に挑む…ジープ・リーコンが狙う“オフローダー新基準”
    CP-2023-0030-29980657-thumb
    「EVでも走りは妥協しない!」アウディ、Q5 eハイブリッドで次世代SUVへ…新PPCプラットフォームが示す“高効率の理想形”
    CP-2023-0065-29934597-thumb
    「速さも快適さも妥協しない!」ホンダ、2025年型タイプRでホットハッチ刷新へ…315馬力が宿す“新・日常性能”
    CP-2023-0030-29937795-thumb
    「13年目のSもまだ進化する!」テスラ、モデルS&Xを小改良…価格引き上げで狙う“再プレミアム戦略”
    CP-2023-0065-29941830-thumb
    「静かに速く、しかも気持ちいい!」新型プジョー3008が提案する“快適EV風SUV”…マイルドHVの限界を超えた実力とは?
    CP-2023-0030-29961390-thumb
    「電池もパワーも削らない!」シボレー、シルバラードEVでEVピックアップ再定義へ…“仕事で使える電動トラック”に本気の進化

    主要ニュース

    CP-2023-0065-29644190-thumb
    「航続526km+防音強化+後席モニター」…テスラの新型モデルY、補助金込みで“買い時”に突入
    CP-2023-0065-29937206-thumb
    「トヨタbZ7にファーウェイAIと新アーキテクチャ」…中国主導で進化する“EVの再定義”
    CP-2023-0047-29827886-thumb
    「航続800km・10分で350km充電」…BMWが放つ“ノイエ・クラッセ第1弾”が描くEVの未来像
    CP-2022-0212-29914777-thumb
    「EVよりハイブリッドの方が環境にいい?」…豊田会長の発言が呼び起こした“カーボン議論の本質”
    CP-2023-0065-29866164-thumb
    「チャールズ国王が選んだ電動SUV」…ロータス「エレトラ」に込められた“王室×EV”の価値観
    CP-2023-0065-29830183-thumb
    「航続650kmの北欧EVが登場」…ポールスター3のロングレンジ仕様が狙う“プレミアムSUV市場の隙間”