
日本経済新聞(日経)によると、トヨタ自動車は、中古車の購入後も先進安全機能を追加できるサービスを拡大する。消費者が比較的安価な中古車を購入した場合でも最新の安全機能を選べるようにし、系列販売店の利用を促すとともに、車両販売後も継続的な収益を生み出す戦略だ。
近年、自動車業界では、ソフトウェアの更新によって車両機能を継続的に改善するソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)が新たな競争力として浮上している。車両購入後も新たな機能を追加して商品価値を高めるビジネスモデルが、世界市場で急速に広がっている。
トヨタは、国内で約1,900万台、世界で約1億5,000万台の車両が走行していることを強みに、既存車にもさまざまな機能を追加する計画だ。追加費用は機能に応じて数万円から数十万円程度になるとみられ、対象は大半の車種に拡大される。
例えば、2021~2022年式のSUV「カローラ クロス」には、レーダーで後方から接近する車両を検知し、ドアミラーの警告灯で運転者に危険を知らせる機能などを新たに搭載できる。
また、2023年以降に販売されたミニバン「アルファード」には、盗難防止セキュリティーシステムを追加できるようにする。新車の安全装備が年々高度化する中、中古車の購入者も最新水準の安全機能を利用できるようにし、性能差への不安を軽減する狙いだ。
トヨタは、こうした純正アップグレードサービスを提供することで、顧客が低価格の中古車販売業者へ流れるのを防ぐ効果も期待している。
現在、トヨタは国内約2,500店舗の系列販売店で、車両機能追加サービス「トヨタアップグレードファクトリー」を運営している。今後は販売店の需要を反映し、中古車向けにも機能追加サービスを本格的に拡大する方針だ。
トヨタ系列販売店の年間中古車販売台数は約35万台と推定される。同社は機能アップグレードなどのアフターサービスを強化し、2030年までに年間中古車販売台数を55万台へ増やす目標を掲げた。
トヨタは新型車に独自のソフトウェアプラットフォーム「Arene」を順次導入しており、今後はソフトウェア機能を有料で更新するサービスも検討している。
トヨタは、中古車販売や機能アップグレード、金融サービスなどを含む「バリューチェーン収益」の拡大を中核的な成長戦略に据えている。新車販売に依存しない安定的な収益源を確保し、自己資本利益率(ROE)20%の達成を目指す計画だ。
一方、自動車業界では、米電気自動車メーカーのテスラが、自動運転機能などさまざまなソフトウェアサービスを有料更新方式で提供し、継続課金モデルを主導している。トヨタも、車両販売後も継続的に収益を生み出す事業構造への転換を加速するとみられる。