
韓国では今月20日未明、集合住宅の地下駐車場で酒気帯び運転をしていた中国総領事館関係者の男性が、通報を受けた警察の現場確認を受けた。呼気検査では運転免許取り消し水準のアルコール濃度が検出されたが、男性は外交官の身分を理由に刑事責任を免れると主張したという。地下駐車場は歩行者と車両が入り交じる空間であり、そこでの飲酒運転は看過できない行為だとの見方が強まっている。

外交官の刑事免責は、外交関係に関するウィーン条約に基づく。同条約は外交活動を保護するための最低限の措置であり、個人的な逸脱行為まで擁護するものではないとの指摘が韓国内で上がっている。在韓ルワンダ大使館関係者も過去に二度の飲酒運転を免責特権で免れたとされ、身分が処罰回避の手段になっているとの批判が続く。韓国政府は今回、領事の身元確認と再発防止を中国側に求めたが、実効性ある対応につながるかは不透明だ。

同様の構図は日本とも無縁ではない。2022年には在日ロシア大使館関係者の飲酒運転や駐車違反金の未納が相次いで報じられ、取材した記者への大使の対応も話題となった。外務省職員自身も1990年代に赴任先で飲酒運転による死亡事故を起こしながら、刑事処分ではなく停職1カ月にとどまった例があり、国会でも処分の妥当性が繰り返し問われている。

日本では外交官を刑事訴追できない一方、外務省が大使を招致して抗議し、ペルソナ・ノン・グラータとして退去を求める対応を取ってきた。警視庁には捜査権と外交特権の間を調整する連絡窓口もある。警察庁の開示資料では、2021年度に外交団車両へ課された駐車違反金のうち時効で徴収できなかった件数は全国3900件、うち東京が3540件を占めた。外交特権は処罰逃れの道具ではなく、相互尊重を前提とした制度だという原則は、どの国にも等しく問われている。