重いバッテリーが主因
コーナリング性能・エネルギー効率の低下
タイヤ摩耗も早まる

電気自動車がエコカーの主流となった一方で、「重量」という避けられない弱点がある。端的に言えば、電気自動車は同クラスの内燃機関モデルよりもはるかに重い。大容量バッテリーパックが原因で、走行性能から維持費に至るまで予想外の影響を及ぼしている。
電気自動車の重量増加の最大要因はバッテリーだ。航続距離を確保するため車体下部に搭載されるリチウムイオンバッテリーパックは数百kgに達する。例えばジェネシスG80電動モデルは内燃機関仕様より約300kg重い。常に大人4〜5人を乗せているのと同じ負担で、車両総重量の20〜30%を占める。エンジンやトランスミッションを省いてもなお、大きな重量差を生む根本的な要因となっている。

この「過体重」は数々の欠点をもたらす。重い車体は物理的に慣性が大きくなり、コーナリング時の俊敏さが失われる。メーカーはサスペンションを硬めにして補うが、低速域や荒れた路面では乗り心地の悪化を招く。重量はより多くのエネルギーを必要とし、電費効率を下げる。最も現実的なのはタイヤ摩耗で、重量と電動モーター特有の強力な初期トルクが原因となり、摩耗速度は内燃機関モデルより20%以上早いとされる。
結論として、電気自動車の重量は数字以上に運転の質や維持費に直結する。重量に耐える専用タイヤは通常品より高価で、交換時のコストはさらに増える。EVを購入する際は環境性能や静粛性といったメリットだけでなく、重量がもたらすデメリットも理解したうえで選択する必要がある。