
自動車のヘッドライトはこの20年で、より明るく、より白い光を放つようになった一方、夜間に対向車の運転者へ与えるまぶしさも強まった。ITメディアのArs Technicaは3日(現地時間)、ヘッドライト技術の変化や規制、事故統計を基に、こうした傾向を取り上げた。
主な背景は、ハロゲンからLED、高輝度放電ランプ、アダプティブ照明への移行だ。従来のハロゲンヘッドライトは照射距離と効率で劣る一方、光は比較的柔らかく暖かみがあった。これに対し、最新のヘッドライトは小さな光源からはるかに多くの光を放ち、色温度も昼光色に近い冷たい白色へ移行した。こうした光は夜間により鮮明に感じられるが、雨天時や道路標示が不明瞭な環境では、まぶしさや不快感をさらに強める可能性がある。
車体の変化も影響した。SUVやピックアップトラックの増加でヘッドライトの取り付け位置が高くなり、正常に調整されたロービームでも、車高の低い乗用車を運転する人の視界を直接照らすようになった。さらに、車両がより重く、速く、静かになり、運転支援システムが高速での夜間走行を支える中、メーカーは前方の照射距離とビーム強度を高め続けてきた。
アダプティブマトリクスヘッドライトは、対策の一つとして挙げられている。他の車両がいる区間だけを部分的に暗くし、それ以外は最大限の明るさを維持する方式だ。ただし、普及状況にはばらつきがある。国ごとに規制が異なり、相当数の車両は精密な制御よりも高い明るさに依存している。
一方、事故統計は夜間照明の性能が重要であることを示している。2019年から2023年までに、米国の道路では夜間の照明がない区間での事故により4万6,154人が死亡し、このうち446人は、まぶしさで運転者の視界が妨げられた事故で死亡した。米国道路安全保険協会(IIHS)は、ヘッドライト評価が「優秀」の車両は、評価が低い車両に比べ、夜間事故が19%、歩行者事故が23%少なかったと分析した。
また、シュコダは、遠距離で生じるまぶしさの主な原因として光度を挙げた。一部のプロジェクトは規制上限に近い設計だが、基準には適合していると説明した。
最新車でもまぶしさが残る理由には、アダプティブシステムの限界が挙げられた。マトリクスシステムでカメラが物体を正しく認識できなかったり、計算処理に遅れが生じたりすると、まぶしさが発生する可能性があるという。
ヘッドライトの進化は、単に明るくなったという問題ではなく、照明性能と対向車の運転者へのまぶしさとのバランスを再設計する過程に近い。LEDとアダプティブ照明は性能を高めたが、実際の道路ではセンサー認識と位置合わせの精度も伴ってこそ、効果を発揮できることを示している。