
「5W30」「5W40」など粘度の数字が同じなら同じオイルで問題ないと考えがちだが、この常識がエンジンを壊す罠になりうる。特にガソリンエンジンにディーゼル用オイルを使うと、粘度が同じでも摩耗を促進する恐れがある。両エンジンは作動方式や回転領域、燃料噴射圧が根本的に異なるためだ。

重要なのは粘度ではなく添加剤の組成だ。ディーゼル用オイルはガソリン用より洗浄剤含有量が2倍近く多く、大量のカーボンを洗い流す設計になっている。だがこの洗浄剤はガソリンエンジンには逆に有害となりかねず、粘度表の数字だけで選ぶのは危険だ。

両エンジンは回転領域も異なる。ディーゼルは1,500〜3,500rpmで最適化されるが、ガソリンは6,000rpm超まで使う。ディーゼルオイルは低回転トルク向けの粘度設計のため、高回転では粘度維持力が低下しかねない。潤滑膜が薄くなればピストンやクランクシャフトの致命的な摩耗につながる。

高濃度の洗浄剤は摩擦防止剤と競合し、部品保護性能を下げることがある。実験でも、同じ粘度のディーゼル用とガソリン用オイルを比較した際、ディーゼルオイル使用のガソリンエンジン部品でより多くの摩耗が確認された。「同じ5W30だから大丈夫」という判断がエンジン寿命短縮を招きかねず、車両マニュアル規定の専用オイル使用が不可欠だ。