
6月26日、高速道路運営会社NEXCO東日本が公式SNSに投稿した写真が衝撃を与えている。3車線ある高速道路本線とみられる現場の中央分離帯には、破損した大きなロール状のスチールコイルが転がり、3車線を横切るように伸びている。その先には側壁に向かって止まった中型トラック、車線を塞ぐように横たわったトレーラー、衝突で分離したとみられる車軸部品も見え、事故の激しさを物語る。

NEXCO東日本によると、重量を大幅に超過して鉄製コイルを積載したセミトレーラーが走行中に右前タイヤをパンクさせ、中央分離帯に衝突して高速道路を塞いだ事故だという。この車両は「車両制限令」に違反した状態だった。乗用車が居合わせていれば大惨事につながりかねない危険な場面だった。

過積載は走行・操縦の安定性を大きく低下させ、横転や転覆のリスクを高める。ブレーキは適正な重量を前提に設計されており制動力が悪化し、タイヤは過負荷で潰れてスリップ事故も招きやすくなる。舗装の摩耗や床版・橋梁の損傷も引き起こし、老朽化が進む道路の劣化をさらに早める要因となる。

日本には道路法に基づく「車両制限令(車限令)」があり、長さ12m、幅2.5m、高さ3.8m(指定道路は4.1m)、総重量20t(高速国道・指定道路は25t)、軸重10tまでと定める。大型特殊車両は「特殊車両通行許可」を受ければ例外的に通行できるが、NEXCO各社は「車限隊」を配置し違反車両の取締りを続けている。
1件のフィードバック
実際に鉄製コイルの輸送に携わっている者として、この記事には事実関係と法制度の説明に重大な混同があると感じます。
まず、記事タイトルは「鉄のコイルが転がった」「トレーラーを横転させた原因は積みすぎだった」としていますが、引用元であるNEXCO東日本の投稿を確認すると、掲載されている写真は一つの事故のものではありません。
鉄製コイルを積んだセミトレーラの事例は、NEXCO東日本によれば、重量を大幅に超えた状態で走行中に右前タイヤがパンクし、中央分離帯に衝突して高速道路を塞いだ事故です。一方、横転している車両の写真は、砂利を積みすぎたダンプカーによる別の事故として紹介されています。
それにもかかわらず、記事では複数の事故写真を一つの事故現場であるかのように並べ、「コイル輸送のトレーラーが横転し、コイルが道路上に散乱した」と受け取れるタイトルと本文になっています。これは引用元の内容を正確に伝えておらず、コイル輸送車両が横転事故を起こしたとの誤解を招く不適切な編集だと思います。
また、記事は道路法に基づく「車両制限令違反」の事例を扱っているにもかかわらず、タイトルや本文では一貫して「過積載」「積みすぎ」と表現しています。
車検証に記載された最大積載量を超える道路交通法上の過積載と、道路の構造を保全するために設けられた一般的制限値や、特殊車両通行許可の重量・経路・通行条件などに違反する道路法上の車両制限令違反は、同じものではありません。
引用元のNEXCO東日本の投稿だけでは、当該車両が車検証上の最大積載量を超えていたのか、特殊車両通行許可を取得していなかったのか、許可証を携行していなかったのか、あるいは取得済みの許可重量や通行条件を超えていたのかまでは確認できません。したがって、この記事の情報だけから「過積載だった」「積みすぎが横転の原因だった」と断定することはできないはずです。
もちろん、特殊車両通行許可を取得せず、許可条件を守らず、または必要な許可証を携行せずに運行することを正当化するつもりはありません。特殊車両通行許可制度は、重量車両による橋梁や舗装など道路構造への過度な負担を防ぎ、交通上の危険を防止するために必要な制度です。
一方、実際の輸送現場では配車が前日や当日に確定することもあり、専属業者・専属車両でない場合には、車両と経路を特定した許可を事前にそろえることが難しいという業界上の問題もあります。この問題は改善されるべきですが、許可の取得や携行に実務上の課題があることと、車検証上の最大積載量を超える過積載とは分けて論じる必要があります。
少なくとも私が携わるコイル輸送の現場では、積込元が各車両の特殊車両通行許可証そのものを毎回確認する運用ではありませんが、高速道路を含む予定経路で許可を取得できる範囲を前提として、総重量44トン以内に収まるよう積載重量を管理しています。もちろん、実際に許可される重量は車両構成、軸数、軸距、経路、道路条件などによって異なるため、「44トン以下なら無条件に通行できる」という意味ではありません。
重量超過車両の危険性や、車両制限令を守る必要性を周知すること自体には賛同します。しかし、そのためにも、別々の事故写真を混在させ、道路交通法上の過積載と道路法上の車両制限令違反を区別せず、引用元にない「コイル輸送トレーラーが積みすぎによって横転した」という事故像を作るべきではありません。
事故報道として、タイトル、写真、本文及び法制度の説明を引用元に即して訂正する必要があると思います。