
燃料警告灯が点灯しても「まだもう少し走れるだろう」と給油を先延ばしにするドライバーは少なくない。しかしJAFが実施した実験によると、警告灯の点灯後に実際に走行できる距離は、乗車人数・速度・車種によって最大半分以下に縮まることが明らかになっている。燃料切れが高速道路上のトラブルに直結しかねないだけに、警告灯点灯後の対応は軽く見られがちなわりに、実際にはかなり重要だ。
警告灯点灯時の残り燃料はどれくらい残っているのか?
燃料残量警告灯が点灯する時点の残り燃料量は車種によって異なるが、一般的に5〜10L程度となっている。正確な数値は車両の取扱説明書に記載されているため、事前に確認しておきたい。ただし、その燃料でどれだけ走れるかは状況によって大きく変わる。

JAFは2009年にテストコースで1,300ccコンパクトカーと2,000ccミニバンを対象に、警告灯点灯後の走行可能距離を測定した。乗車条件はドライバー1人の「1名乗車」と定員いっぱいの「定員乗車」の2パターン、速度は時速80km(エアコンOFF)と時速100km(エアコンON)、および渋滞時を再現した「渋滞モード」の3パターンで実施された。
条件によって走行可能距離は半分以下に急減
実験では、最も条件の良いコンパクトカー・1名乗車・時速80km・エアコンOFFの場合、約7Lの残量にもかかわらず200km近く走行できた。一方、同じコンパクトカーでも定員乗車・時速100km・エアコンONでは走行可能距離は約116kmにとどまり、渋滞モードでは70km弱となった。
排気量の大きいミニバンでは差がさらに広がった。時速100km走行時には80kmちょっと、渋滞モードでは約42kmしか走行できなかった。定員乗車・時速100km条件では、1名乗車・時速80km条件の半分程度まで走行可能距離が落ち込む計算だ。

実際の道路ではテストコースと異なり、勾配のきつい上り坂や信号待ちによる停止もあるため、実際の走行可能距離はこれより短くなる可能性がある。また、近年は燃費性能が向上した一方で燃料タンク容量が小さくなった車両も増えており、この点にも注意が必要だ。
高速道路での燃料切れは法律上の問題であり事故の原因にもなる
JAFのロードサービス出動理由のうち、高速道路における「燃料切れ」は2位を占めるほど多い。地方の高速道路にはガソリンスタンドが100km以上ない、いわゆる「給油空白地帯」が存在することも背景にある。

高速道路上で燃料切れにより車両が停止すると、道路交通法上の問題が生じるだけでなく、後続車両との衝突など重大な事故につながる危険もある。警告灯の点灯前から燃料残量に気を配り、高速道路に乗る前に給油を済ませておくことが最も確実な対策といえる。
燃料警告灯は「まだ少し走れる」という余裕の合図ではなく、危機を知らせるサインである。点灯後の実走行可能距離は、速度や乗車人数によって最大4〜5倍の開きが生じうる。車両の取扱説明書で自車の燃料残量と警告灯の点灯基準をあらかじめ確認し、点灯後は最寄りのガソリンスタンドで速やかに給油する習慣を身につけることが、安全運転の基本である。