
プラットフォームは自動車ブランドにとって単なる骨格以上の意味を持ち、多くの完成車メーカーは自社開発を貫き外部に委ねない。中でもホンダは自社開発への強いこだわりで知られてきたが、新たな車両プラットフォームの開発をインドのタタ・テクノロジーズに委ねたと伝えられている。事実なら、日本メーカーがインド企業にプラットフォーム開発全体を委託する初の事例となる。

タタ・テクノロジーズは完成車を製造するタタ・モーターズとは別に、エンジニアリングサービスを専門に提供する企業だ。今回は既存車にエンブレムを付け替える「バッジエンジニアリング」ではなく、ホンダ専用の骨格を一から設計する取り組みで、内燃機関車からハイブリッド車、EVまで幅広く対応する設計とされる。開発の根幹を外部に委ねた事実自体が業界で話題を呼んでいる。

背景にはホンダの厳しい経営環境がある。2026年3月期は4,239億円の純損失を記録し、上場以来初めての赤字となった。これを受け、開発費・期間・作業量を2025年比で半減させる「トリプルハーフ」戦略を掲げ、外部の実績あるエンジニアリング能力の活用を進める。かつて9%に迫っていたインド市場シェアが10年間で2%未満まで急落した点も協業を後押ししたとみられる。

自社開発に強い誇りを持ってきたホンダが原則を曲げたことは、完成車業界の流れの変化を示す出来事といえる。ホンダは詳細を明らかにしておらず、外部協力を「常に検討している」との原則的な立場を示すにとどめた。この試みがホンダの巻き返しにつながるのか、他の完成車メーカーの戦略に影響を与えるのか、結果が注目される。