「故障ではなく構造だった」ハイブリッド車、冬の燃費急落は暖房制御が引き金

【引用:depositphotos】ハイブリッド車の冬季における燃費低下は、故障や異常と断定される現象ではなく、低温環境下で顕在化しやすいシステム特性として整理される。外気温の低下により、夏季に20km/Lを超えていた実燃費が15km/L前後、条件によっては10km/L台まで低下する例も見られるが、各種データでは冬季の燃費低下幅は一般的に10〜17%程度とされており、設計上想定された挙動の範囲に含まれると考えられている。

【引用:depositphotos】燃費悪化の主因として挙げられるのが暖房使用に伴うエンジン稼働率の上昇である。多くのハイブリッド車は内燃機関の廃熱を利用して車内を暖める構造を採用しており、ヒーター作動時にはバッテリー残量に関わらずエンジンが起動する制御が組み込まれている。その結果、低速域でモーターのみを使用する走行比率が冬季には低下し、燃料消費が増える傾向が現れる。これは電気自動車とは異なるエネルギー利用思想に基づくものだ。

【引用:depositphotos】バッテリー温度の影響も無視できない要素である。リチウムイオンバッテリーはおおむね15〜35℃付近で性能が安定するとされており、気温がこの範囲を下回ると内部抵抗の増加により充放電効率が低下する。車両側はバッテリー保護を優先し、モーター出力や回生量を制御するため、結果としてエンジンへの依存度が高まる。これは冬季特有の制御変化であり、異常動作とは性質を異にする。

【引用:depositphotos】加えて、低温下では空気密度の上昇による空気抵抗の増加、エンジンオイルやトランスミッションオイルの粘度上昇による機械抵抗の増大も燃費に影響する。屋外駐車後の冷間始動では、エンジンが作動温度である85〜90℃に達するまで燃料噴射量が多くなりやすく、走行初期の燃費が悪化しやすい。バッテリー温度も低い状態で走行を開始するため、この区間の効率低下が全体の実燃費に反映される。

【引用:depositphotos】運用面での対応としては、地下駐車場の利用により車両全体の初期温度を確保し、暖機に要する時間を短縮する方法が効果的とされる。始動直後は電力消費の比較的少ないシートヒーターやステアリングヒーターを活用し、キャビン全体の暖房は段階的に使用することで燃料消費を抑えやすい。冬季の燃費低下は低温環境下で表れやすい構造的特性であり、警告灯の点灯や極端な数値変動が見られない限り、多くの場合は気温の上昇とともに改善する傾向を示す。季節に応じた運用方法を理解することが、ハイブリッド車を安定して使いこなす上で重要となる。

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