「踏んでも止まらない」制動が突然消える“見えない死角”に、専門家が示した不安

【引用:Depositphotos】普段通り運転していて信号前で減速しようとした瞬間、ブレーキを踏んでも車が止まらない状況は、近年実例として報告され始めている。ブレーキ関連のトラブルは増加傾向にあり、整備専門家は「多くのドライバーが見落としている危険要因がある」と指摘する。その正体は複雑な機械故障ではなく、わずか約4,000円の管理怠慢だった。

【引用:Depositphotos】エンジンオイルの交換時期は覚えていても、ブレーキフルードの重要性を正しく理解していないドライバーは多い。整備現場では「エンジンオイルは財布を守り、ブレーキフルードは命を守る」と言われるほど、ブレーキフルードの役割は大きい。吸湿性を持つブレーキフルードは空気中の水分を吸収することで沸点が急低下し、230℃以上あった沸点は水分3%増加で150℃以下まで落ちる。これが高温時のベーパーロックを生み、ペダルが深く沈み込み制動力が失われる。さらに夏場や下り坂で起きるフェードが重なれば、制動不能の危険が一気に高まる。

【引用:Depositphotos】専門家は「フェードを起こした状態でブレーキを踏み続けると、最終的にベーパーロックへ繋がる」と強調する。長距離運転者や山岳路利用者では、この二つの現象を連続して経験するケースも確認されている。ブレーキフルードを安全に保つ最も確実な方法は定期交換であり、整備業界は「走行距離に関係なく2年、または4万kmごと」を推奨する。交換費用は約4,000円と大きな負担ではないが、怠るとABSモジュール故障で数十万円規模の修理費が発生する可能性がある。

【引用:Depositphotos】使用される規格も軽視できない。一般的なDOT3に対し、DOT4はより高い沸点を持ち高負荷走行に適している。DOT5はシリコン系で水分を吸収しないものの一般車には不向きだ。しかし自車がどの規格を使っているか把握していないドライバーは意外なほど多い。交換のサインは明確で、ペダルが深く沈む、金属音がする、下り坂で制動力が急落するなどの症状は点検が必要であることを示す。ブレーキ警告灯が点灯した場合は即座に整備工場へ向かうべきで、一部工場では水分含量の無料測定も行われている。

【引用:Depositphotos】特に中古車購入時は、前オーナーの整備履歴を把握しづらいため、ブレーキフルードを最初に交換しておくのが最も安全だ。ブレーキシステムは車両の安全機構の中でも最重要であり、車齢上昇とともに関連事故も増加している。最後の交換から2年以上経過、もしくは交換時期を覚えていないなら、それが整備すべきタイミングである。小さな管理が重大事故を確実に防ぐ。

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