「ランドクルーザー300」豪州で世界販売1位に
中東需要とロシアの影
電動化で北米巻き返しへ

2024年のトヨタ「ランドクルーザー300シリーズ」の世界販売台数は10万5,700台に達した。その中でオーストラリア市場が1万3,790台を記録し、日本の1万3,174台を上回り、ついに世界最大の市場の座を勝ち取った。耐久性と走破性を重視する消費者に強く支持されてきた中東に変わり、オーストラリアの躍進が大きな注目を集めている。
順位はサウジアラビア(1万2,381台)、アラブ首長国連邦(9,319台)、オマーン(8,882台)、カタール(8,685台)、クウェート(8,028台)、イラク(7,133台)、ヨルダン(2,849台)と中東諸国が続いており、依然として高い需要が根強いことが明らかとなっている(トヨタ調べ)。


ロシア市場でも予想外の健闘
北米復帰の鍵は電動化
興味深い点として、ロシア市場から公式に撤退したにもかかわらず、3,682台が販売され、販売国ランキングで世界第9位にランクインした。この数字は並行輸入や既存在庫の流通が継続していることを示唆しており、意外な存在感を示している。
一方で、北米(米国・カナダ)市場ではランドクルーザー300が販売されておらず、レクサスLXおよびセコイアが代替モデルとして展開中だ。このことが現在の販売拡大を制限している要因となっている。しかし、2026年モデルでは3.5リッターV6ツインターボをベースとしたハイブリッドが追加され、最高出力457馬力を誇る電動化による巻き返しも期待されている。

次はデジタル&ハイブリッド
ライバル激化でも存在感健在
2025年モデルではまずデジタルメーターを採用し、2026年にはハイブリッド搭載とともにデザインの微修正を予定しており、シリーズ全体の魅力が強化されている。また、15年ぶりにフルモデルチェンジを果たした日産・パトロールとの競争も激化が予想され、この環境の中でランドクルーザー300が優位性を維持できるかどうかが注目される。
結論として、北米市場が欠けているにもかかわらず、ランドクルーザー300シリーズは世界のSUV市場において強力な存在感を示している。オーストラリアでの台頭、中東の堅固な需要、加えて電動化モデルの投入という布石が、トヨタの今後の世界戦略に新たな可能性を与えている。