
車両の衝突安全性は、試験場での成績だけでは判断できない。実際の道路では、車体の大きさや重量だけでなく、運転者の傾向や走行環境も事故の結果を左右する。
最近、米国道路安全保険協会(IIHS)が実際の死亡事故データを分析した結果、小型車と高性能マッスルカーは運転者死亡率が高く、大型・高級SUVは相対的に低いことが分かった。
IIHSは、2023年モデルと、設計や安全装備が実質的に同一の旧年式モデルを対象に、2021~2024年に米国で発生した死亡事故を分析した。
調査の結果、運転者死亡率が最も高かった車両は、起亜リオだった。登録車両100万台・年当たりの運転者死亡者数は170人と集計された。100万台・年とは、100万台の車両が1年間登録された場合と同等の曝露規模を意味する。
日産ヴァーサは164人で2位だった。起亜フォルテ、スバル・インプレッサ、日産セントラ、日産キックスなどの小型モデルも、死亡率が高い上位20車種に含まれた。
小さく軽い車両ほど不利だ
運転者死亡率が最も高い上位20モデルのうち、半数以上は小型車、スポーツカー、マッスルカーだった。
車格別では、ミニカークラスの平均運転者死亡率が、登録車両100万台・年当たり158人で最も高かった。小型乗用車は平均79人、全車両の平均は37人だった。
IIHSは、小型車が安全に設計されていても、はるかに重いピックアップトラックや大型SUVと衝突した場合、物理的に不利にならざるを得ないと説明した。車体が軽いほど、衝突時により大きな速度変化を受けるためだ。
ただし、死亡率が高いという理由だけで、その車両の車体構造や安全性が必ず劣っていると断定してはならない。実際の死亡率には、運転者の年齢や運転習慣、走行距離、道路環境などが複合的に反映される。
マッスルカーも高い死亡率を記録した
高性能の後輪駆動車も、運転者死亡率の上位を占めた。
後輪駆動のクライスラー300は、登録車両100万台・年当たり132人、ダッジ・チャージャーHEMIは127人、ダッジ・チャレンジャーは125人だった。
通常の後輪駆動のダッジ・チャージャーは90人、シボレー・カマロは88人、シボレー・コルベットは82人と調査された。
IIHSは、強力な性能を強調する車両の特性やマーケティングが、攻撃的な運転傾向と関連している可能性があると分析した。衝突試験の成績が優れた車両でも、速度超過や乱暴な運転が多ければ、実際の道路での死亡率が高くなる可能性があるという意味だ。
死亡率が低い車種の大半はSUVだった
逆に運転者死亡率が最も低い上位20モデルのうち18台はSUVだった。
アウディQ7、BMW X7、シボレー・タホ、メルセデス・ベンツGLBとGLE、トヨタ・タンドラ・クルーマックスの6モデルは、調査期間中の運転者死亡率が0と集計された。
ポルシェ・マカンとカイエン、BMW X5、ボルボXC60とXC90なども、1桁台の低い死亡率を記録した。
大型車両は衝突エネルギーを吸収する空間が広く、乗員周辺の生存空間を確保しやすい。高級SUVに搭載される衝突回避システムや先進運転支援システムも、事故の防止や被害の軽減に影響した可能性がある。
ただし、死亡率が0という結果は、調査対象期間と標本の範囲内で運転者の死亡が集計されなかったことを意味する。事故が発生しても死亡しないという意味ではない。
相手車両に最も危険なのは大型ピックアップだった
IIHSは、特定の車両と衝突した相手車両で死亡した運転者の数も別途分析した。
相手車両の運転者死亡率が最も高かったモデルは、ラム3500クルーキャブ・ロングベッド4WDだった。登録車両100万台・年当たりの相手車両の運転者死亡者数は204人に達した。
上位20モデルのうち、10モデルは大型または超大型ピックアップトラックだった。シボレー・シルバラード3500、ラム2500、GMCシエラ2500、複数仕様のラム1500などが含まれた。
大型ピックアップトラックは自車の乗員を保護する点では有利だが、小さく軽い車両と衝突した場合、相手車両により大きな衝撃を与える可能性がある。
ダッジ・チャージャーHEMIの相手車両の運転者死亡率は161人、通常のダッジ・チャージャーは136人だった。シボレー・カマロとマリブも、運転者死亡率と相手車両の運転者死亡率がともに高いモデルに含まれた。
車両自体の安全性だけを示す順位ではない
今回の調査では、米国連邦政府の死亡交通事故分析システム「FARS」と車両登録データが活用された。運転者の年齢と性別は補正されたが、走行距離や速度、運転経験、所得水準、道路の種類、普段の運転習慣は直接反映されなかった。
分析対象は、登録曝露量が10万台・年以上、または運転者の死亡事例が少なくとも20件以上あるモデルに限定された。標本数を増やすため、2023年モデルと構造や安全装備が大きく異ならない一部の2020~2022年モデルも、同一モデル群としてまとめられた。
IIHSは、個別モデルの数値だけでなく、車格別の全体的な傾向も併せて見る必要があると強調した。モデル別の数値は、標本規模や実際の使用状況によって大きく変わる可能性があるためだ。
今回の結果は、車両の重量や衝突安全構造、事故防止技術が生存可能性に重要な影響を与えることを示している。同時に、どれほど安全な車両でも、速度超過や飲酒運転、前方不注意、攻撃的な運転まで完全に相殺することはできないという事実も改めて確認された。