「ZXより40万円高いのはなぜ?」ランクル300 GR SPORTだけに許された装備がある!

引用:トヨタ
引用:トヨタ

悪路そのものを走破する性能を商品性の核に据えたモデルは、決して多くない。トヨタのフラッグシップSUV「ランドクルーザー“300”」のラインアップにおいて、その頂点に立つのが「GR SPORT」である。

価格を見るだけでも、このグレードの立ち位置がうかがえる。ガソリン車は783万6400円、ディーゼル車は813万6700円(いずれも消費税込み)に設定されており、上質さを追求したZX(ガソリン車743万6000円・ディーゼル車773万6300円)と比べると、両パワートレインともおよそ40万円高い。この価格差は、専用に組まれた足回りと駆動系装備の違いから生まれたものだ。

その専用装備の核となるのが「E-KDSS(エレクトロニック キネティック ダイナミック サスペンション システム)」である。悪路走行時にはスタビライザーの連結を電子制御で切り離してタイヤの接地性を高め、オンロードでは再び連結して安定した走りを確保する仕組みで、GR SPORTだけに与えられている。駆動系にも違いがあり、電動デフロックをフロント・リア双方に備えるのはGR SPORTのみで、ZXはリアのみの設定にとどまる。ドライブモードにはECO、NORMAL、COMFORT、SPORT S、SPORT S+、CUSTOMの6種類が用意され、走行シーンに応じて特性を切り替えられる。

外観にもはっきりとした違いが表れている。GR専用グリルと前後バンパー、マットグレー塗装の18インチアルミホイールに加え、ホイールアーチモールやロッカーモールもブラック仕上げでまとめられた。ボディサイズは全長4965mm×全幅1990mm×全高1925mm、ホイールベース2850mm。オーバーフェンダーの装着により、他グレードより全幅が10mm広くなっている点も見逃せない。室内では、切削カーボン調の加飾とGRエンブレムをあしらったステアリングホイールが、走りへのこだわりを演出する。

パワートレインの構成も注目に値する。ガソリン車には3.5リッターV6ツインターボエンジンが搭載され、305kW(415PS)・650N・mを発生。ディーゼル車は3.3リッターV6ツインターボディーゼルエンジンで、226kW(307PS)・700N・mを発揮する。いずれも電子制御10速AT「Direct Shift-10AT」とフルタイム4WDを組み合わせ、WLTCモード燃費はガソリン車が7.9km/L、ディーゼル車が9.7km/Lとなっている。

こうしたハードウェア構成の背景には、“300”シリーズ全体の開発思想がある。2021年8月、トヨタはラダーフレーム構造を継承しながらTNGAの考え方を取り入れた新開発プラットフォーム「GA-F」を初めて採用し、約200kgの軽量化を実現した。同時に新開発の3.5リッターV6ツインターボガソリンエンジンと3.3リッターV6ツインターボディーゼルエンジンを「Direct Shift-10AT」と組み合わせ、オンロード・オフロード双方の性能を高めている。この“300”は200系の後継として位置づけられ、ランドクルーザーの系譜の中で最新技術をいち早く取り入れる役割を担う。2023年8月にはランドクルーザーブランドそのものが「70」「250」「300」の3シリーズ体制へと再編され、こうした位置づけがより明確になった。

現行のグレード展開は、装備をシンプルにまとめた「GX」を起点に、バランスを重視した「AX」、質感を高めた「VX」、上質さを追求した「ZX」、そして頂点の「GR SPORT」まで5段階に及ぶ。このうちGR SPORTは、オフロードでの走破性能そのものを商品性とする唯一のグレードであり、日常の快適性よりも険しい道での走りを優先したいユーザーにとって、最もふさわしい選択肢と言えるだろう。

ランドクルーザーの原点は、1951年8月に発売された4輪駆動車「トヨタBJ型」にまでさかのぼる。悪路での走破性能の高さが評価され、警察や消防といった公的機関にも採用されたことで、「どこへでも行き、生きて帰って来られるクルマ」を目標に信頼性と耐久性を磨き続け、現在では世界170以上の国と地域で親しまれる存在へと成長した。

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