
国内自動車メーカーがモータースポーツを新車開発と技術検証の舞台として活用し、存在感を高めている。
Nikkei Asiaは1日、国内自動車メーカーがサーキットレースとオフロードラリーを研究開発(R&D)の場として活用していると報じた。
国内モーターレースの歴史は100年以上だが、1990年代のバブル経済崩壊後、長期間の低迷を経験した。当時、自動車メーカーはモーターレースを車両開発よりもマーケティング活動と捉え、投資を減らした。しかし、業界は最近、モーターレースの過酷な環境で車両を繰り返しテストして得たデータをもとに、エンジンや駆動系、車体性能などを改善している。
トヨタGRヤリス、ニュルで磨く実戦開発
代表例はトヨタの高性能車「GRヤリス」だ。2020年に発売されたGRヤリスは世界ラリー選手権(WRC)への出場を念頭に開発され、実際の競技参加を通じて継続的な性能改善が行われた。トヨタ会長の豊田章男氏は、モータースポーツを起点とした技術開発とクルマづくりの姿勢を自社の開発哲学の核心と位置づけている。
トヨタは今年5月のニュルブルクリンク24時間耐久レースに、試験的な動力系を搭載したGRヤリスを投入した。レース中に車両の振動異常が発生し、整備チームがエンジンと駆動系を丸ごと交換する対応を迫られた。TOYOTA GAZOO Racingカンパニープレジデントの高橋智也氏は、この判断を車両性能と人材育成への取り組みを示す事例と位置づけた。
ホンダはF1復帰、技術を量産車へ
トヨタだけでなく、他の国内完成車メーカーもモータースポーツの舞台に復帰している。ホンダは今年F1に復帰し、アストンマーティンに新技術規定に基づく新型パワーユニット(PU)を供給している。
ホンダ代表執行役社長の三部敏宏氏は1月のパートナーシップ発表会で、「F1で蓄積した高効率燃焼、高出力モーター、持続可能燃料技術などは量産車だけでなく、eVTOLなど将来のモビリティ全般に適用される」と語った。
日産もNISMO拡大、レースで攻勢
日産も高性能ブランド「NISMO(ニスモ)」のラインナップを拡大し、2028年までに現在の年間販売台数の約1.5倍への引き上げを目標に掲げた。4月のニューヨーク国際オートショーでは、マニュアルトランスミッションを採用した「フェアレディZ NISMO(2027年モデル)」を公開した。
Nikkei Asiaは、国内自動車メーカーが自動車レースを技術開発とブランド競争力強化の手段として積極的に活用し、欧州メーカー勢が中心だった競技の場で存在感を高めているとした。