
世界の電気自動車(EV)市場がテスラとBYDを中心に動いている中、日本国内では250万円前後の超小型電気自動車が販売首位を記録した。その主役は日産の軽EV「サクラ」である。2024年には国内で3万7,140台が販売され、EV市場全体の半分を占めるに至った。16日(現地時間)、米国のEV専門メディア「クリーンテクニカ」は、「サクラ」が単なる販売面での成功を超え、日産の経営危機を克服する上で決定的な役割を果たしたと報じている。
「サクラ」は2022年夏の発売以来、6万台以上の注文を受け、一時は受注を一時停止するほどの人気を博した。同年、三菱自動車の「eKクロス EV」と共に日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、市場での地位を確固たるものにしている。
「サクラ」はEV市場において希少な実用性を武器にしている。車体は国内の軽自動車規格に最適化されており、最高出力47キロワットのモーターと20キロワット時のバッテリーを搭載し、180キロメートルの航続距離を提供する。これは国内の都市部における利用では十分な性能である。日産の内部調査によれば、軽自動車ユーザーの53%が1日の走行距離を30キロメートル未満としており、31%は30キロメートルから100キロメートルであるとしている。つまり、「サクラ」の走行距離は極めて実用的な水準といえる。
充電速度についても、30キロワットのDC急速充電を利用すれば、20%から80%まで約40分で充電が可能である。室内には7インチのデジタルクラスターと9インチのインフォテインメントシステムを搭載し、運転支援システム「プロパイロット」や「プロパイロット パーキング」も備えている。
さらに日産は、三菱自動車との協業を通じて開発コストを削減し、広範なディーラーネットワークを活用して消費者の利便性を高めた。これはテスラやBYDが容易に追随できない強みである。「サクラ」は単なる軽EVではなく、日本市場に最適化されたモデルであり、日産の再建を支える存在であるとの評価を受けている。