N-One e:都市に寄り添う次世代軽EV
軽自動車規格を活かした実用設計
暮らしの電源としての新たな価値

ホンダは、日本の軽自動車規格に準拠した同社初の純電動モデル「N-One e:」を正式発表した。都市型モビリティとして開発されたこのコンパクトEVは、小型ながら多機能性を備え、日常生活に密着した使い勝手の良さで注目を集めている。
丸みを帯びた愛らしいフォルムに加え、静粛性の高い走行性能を備えたN-One e:は、デザインと実用性を両立させた1台だ。外観からは玩具のような印象を受けるものの、その背景には都市生活に最適化された明確な戦略が存在する。


軽自動車規格を最大限に活用
使いやすさと個性を両立した室内設計
このモデルは、日本特有の軽自動車制度を最大限に活用する形で設計された。全長3.4メートル未満というボディサイズに、税制や保険料、駐車場優遇といった軽自動車ならではの利点を盛り込み、ユーザーの生活コスト低減にも貢献する。
インテリアは、直感的な操作性を重視して物理ボタンを多用。最高出力は64馬力(47kW)と抑えられているが、都市部での走行には十分なスペックだ。限られたスペースの中に、利便性と個性を両立させた設計思想が貫かれている。

暮らしを支える外部給電機能
国内特化型モデルとしてデビュー
注目すべきは、外部給電(V2L)機能を備えている点だ。災害時には家庭用の非常電源として、アウトドアではノートパソコンや電動アシスト自転車の充電など、多用途に対応。単なる移動手段にとどまらない“暮らしの電源”としての役割も担う。
N-One e:は2024年9月より国内で販売開始予定。さらに、同月にドイツ・ミュンヘンで開催される「IAAモビリティショー」にて欧州初公開されるが、米国市場での展開は未定とされる。これは日本の軽自動車制度という枠組みに最適化されたモデルであり、その強みを発揮できる市場が限定されることを意味している。