
カリフォルニア州が、自動運転車両に対する規制体系を大幅に改定する。7月1日から施行される新制度では、ロボタクシーに対する法執行権限が明確化されると同時に、大型自動運転トラックの公道試験も段階的に解禁される。州車両管理局(DMV)は、従来の制度が「無人車両に対する責任主体を十分に定義していなかった」と判断し、運営事業者に対する直接的な監督権限を強化する方針を示した。

カリフォルニア州「AB 1777」が問う自動運転の法的責任
今回の制度変更の中心となるのは、2024年9月に成立した州法「Assembly Bill 1777」である。これにより、警察当局は交通違反を行った無人自動運転車両に対し「不遵守通知」を発行できるようになり、運営企業が法的な運転主体として扱われる。違反内容は72時間以内に州へ報告する義務があり、事故など重大案件では24時間以内への短縮が求められる。DMVは、違反の反復や重大性に応じて、運行台数制限や許可停止などの行政処分を科す権限も持つ。

緊急時対応に関する要件も大幅に強化された。自動運転車両は、警察・消防などの指示に即応可能なシステムを搭載しなければならず、運営事業者には30秒以内に接続可能な専用通信チャネルの常時維持が義務付けられる。また、地方自治体は「緊急ジオフェンシング命令」を発動でき、火災や事故発生時には指定区域内の自動運転車両を2分以内に退避させることが可能となる。車両側には、手動制御機能と双方向音声通信機能の搭載も求められる。

規制強化と並行する自動運転物流の拡大
一方で、州政府は規制強化と並行して、自動運転物流分野の拡大にも踏み込んだ。DMVは従来禁止していた車両総重量1万ポンド超の大型自動運転トラックに対する運行制限を緩和し、高速道路での試験運用を認める。さらに、1万4,001ポンド以下の中型車両については、シャトル輸送や公共交通用途への展開も可能となる。ただし、大型車両には厳格な条件が設定されており、完全無人運転へ移行する前に最低50万マイルの有人試験走行を完了する必要がある。

社会インフラへの転換点と今後の課題
今回の制度改定は、自動運転技術を単なる実験段階から社会インフラへ移行させるための転換点と位置付けられている。特に、責任主体の明確化と緊急時対応能力の標準化は、商用化拡大に伴う安全性確保の観点から重要な要素となる。一方で、大型物流分野への適用拡大は、州政府が自動運転技術を産業競争力の一部として位置付け始めたことを示しており、今後は保険制度や事故責任範囲を含めたさらなる法整備が焦点となる可能性が高い。