
「救急車は、何でも解決してくれる万能の解決者ではない」
東京消防庁が異例の呼びかけを行った。8月4日、東京消防庁は公式SNSにこの文言を含むキャンペーン画像を公開した。めったに見られない強い口調のメッセージが出た背景には、それなりの事情がある。最近、救急車の出動要請が爆発的に増加し、実際に一刻を争う緊急患者に救急車が間に合わない危機に直面しているのだ。
実際、東京では管内の救急車がすべて出動し、一台も残らない状況が頻繁に発生している。問題は、このような出動要請の中に、わざわざ救急車を呼ぶ必要のない案件がかなり含まれていることだ。本当に緊急な人々のために大切にすべき資源が、不必要な通報で失われているのだ。
救急車は一台出動すると、患者を病院に引き渡し、帰還するまでにかなりの時間がかかる。そのため、一件の不必要な出動が他の緊急患者のゴールデンタイムを奪う可能性がある。公共サービスという理由で軽視されがちだが、その裏には限られた人員と設備という厳しい現実がある。それでは、状況はどれほど深刻で、どのような通報が問題になっているのだろうか。
まず、状況の深刻さを見てみよう。救急出動件数は最近急激に増加している。特に7月22日には、たった一日で3,612件の出動が行われた。これは1963年の統計開始以来、最多の件数だ。猛暑が続き、熱中症などが急増したことも一因と見られる。
このように出動要請が一気に集中すると、利用可能な救急車が瞬時に底をつく。その結果、実際に命が危険な重症患者に割り当てる救急車が不足するという深刻な事態が生じかねない。救急車一台の到着が遅れることが、誰かにとっては生死を分ける決定的な違いになりかねない。
さらに大きな問題は、このような出動要請の多くが実際には緊急事態ではないことだ。実際、2024年の一年間に受け付けられた119通報のうち、約20%は緊急性がなく、まったく消防とは無関係な内容だったことが明らかになった。5件に1件の割合で不適切な通報が混ざっていたことになる。この20%を取り除くことができれば、実際に緊急な患者に向けられる余力は大幅に増えるという計算が成り立つ。東京消防庁が強い口調のキャンペーンを展開したのは、こうした切迫した背景があるからだ。
では、実際にどのような通報が問題になっているのだろうか。東京消防庁が公開した事例を見ると、首をかしげたくなる。単に病院の場所がわからないと問い合わせたり、スマートフォンを見ながら歩いていて看板にぶつかった軽い傷、さらには友人と飲酒して気分が悪くなったという理由で救急車を呼んだケースまであった。どれも救急車が出動するような案件とは言い難い。
このような通報が積み重なるほど、実際に助けを必要とする人々に向けられる救急車は減るしかない。そのためには、どうすればよいのだろうか。東京消防庁は119に通報するかどうか判断がつかないときは、「#7119」の救急相談センターに電話することを勧めている。ここは24時間、年中無休で運営されており、専門の相談員が症状を聞いて救急車を呼ぶべき状況か、直接病院に行ってもよいかを案内してくれる。あいまいな状況のときに無闇に119を押すのではなく、まず相談を受けることが互いにとって有益だということだ。
実際に緊急事態であれば、相談員が即座に救急車出動につなげてくれるので、この窓口を利用したからといって、緊急時の対応が遅れる心配もない。この制度をよく知っておくだけでも、限られた救急資源を守る手助けになる。
まとめると、今回の東京消防庁の異例の呼びかけは、救急資源が限界に達したという切迫した信号だと言える。1日3,612件という歴代最多出動記録がこれを明確に示している。救急車は限られた資源であるため、本当に緊急な人々のために大切に使わなければならないというメッセージに耳を傾ける必要がある。
もちろん、緊急性を自分で判断するのが難しい瞬間もある。そのようなときのために救急相談センターのような窓口が設けられているので、これを積極的に活用する知恵が求められる。結局、一人一人の成熟した判断が集まり、実際に助けを必要とする誰かの命を救う礎になるのだ。救急車を呼ぶべきかどうか、一瞬立ち止まって考えるその短い瞬間の配慮が、社会全体の安全網を強化する力になる。