
梅雨前点検、ワイパーは準備万端でもタイヤは見落としがちな理由
梅雨が始まると、多くのドライバーはワイパーとウォッシャー液を準備する。前照灯が正しく点灯するか確認し、エアコンの除湿機能も合わせて点検する。しかし、実際には雨道での事故の重要な要因であるタイヤの状態は後回しにされがちだ。
外見に問題がなさそうに見えると、問題がないと判断してしまうことが少なくない。しかし、雨道で車両が滑る事故は、ほとんどがタイヤの排水能力が低下した状態で発生する。実験条件によってばらつきはあるが、濡れた路面での制動距離が最大1.8倍まで伸びるという測定値も出ている。本格的な梅雨の時期が来る前にタイヤの状態をしっかりと点検する必要がある理由がここにある。
水の上を走るのと変わらない瞬間、ハイドロプレーニング現象
ハイドロプレーニング現象は、道路に溜まった水をタイヤが十分に押しのけられないときに発生する。路面とタイヤの間に薄い水膜が形成され、タイヤが実質的に水の上を滑る状態となり、この瞬間に接地力は急激に失われる。ブレーキを踏んでもタイヤが路面をしっかりと掴めないため、制動距離が大幅に伸び、ハンドルを回しても意図した方向に力が伝わらない。
速度が速いほどタイヤが水を排出する時間が減るため、一定の水深以上の路面を時速80km前後で走行するとハイドロプレーニング現象が発生する確率が明らかに高くなる傾向がある。逆に言えば、速度を落とすだけでも危険をかなり低減できるということだ。
引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません” />法定基準は1.6mmだが、実際の安全ラインは3mmだ
タイヤの排水性能は結局トレッドの溝の深さに依存している。トレッドが摩耗するほど水を押しのける溝の容量が減少し、ハイドロプレーニング現象が発生する可能性が高くなる。道路運送車両法に定められたタイヤの法定最小トレッド深さは1.6mmだが、多くのタイヤメーカーは梅雨の排水性能を考慮し、3mm程度残っているときから余裕を持って交換することを推奨している。あるタイヤメーカーの実験結果によると、溝の深さが7mmの新しいタイヤと1.6mmまで摩耗したタイヤでは、濡れた路面で時速100km以上で急制動した際の制動力が約2倍近く異なった。
空気圧管理も見落としがちな部分だ。雨道での接地力を高めようと意図的に空気圧を下げるドライバーもいるが、これは逆効果をもたらす。空気圧が不足すると接地面積が過度に増加し、排水条件が不利になり、ハイドロプレーニング現象が発生する可能性が逆に上がるからだ。
引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません” />サイドウォールの亀裂、ワイパーの状態まで確認すべきだ
トレッドや空気圧の他に、サイドウォール(タイヤの側面)の状態も確認する必要がある。側面に亀裂や裂け目があると、高速走行中に破裂する危険が大きい。目視でもある程度確認できるが、損傷が疑われる場合は専門家の点検を受けることが安全だ。
タイヤだけでなく、ワイパー、ウォッシャー液、照明装置も梅雨前に一緒に点検すべき項目だ。ワイパーブレードが摩耗すると雨水がうまく拭き取れず、前方の視界が不明瞭になり、前照灯とテールランプが正常に動作していなければ他の車両が自車の位置を正しく認識できない。湿度の高い梅雨時には車内外の温度差でガラスが曇りやすいため、曇り防止のためのエアコンの除湿機能も事前に点検しておくと役立つ。
引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません” />減速、距離の確保、そしてペダルから足を離す瞬間
車両点検と同じくらい重要なのが運転方法の変化だ。雨道での安全運転の鍵は、減速、十分な車間距離の確保、急操作の自制の3つに要約される。雨天時には制限速度から大きく減速することが求められ、視界不良を伴うような豪雨時にはさらに大幅な減速が必要になる。
車間距離は雨道で制動距離が伸びるため、普段よりも余裕を持って確保する必要があり、前車が起こす水しぶきで視界が遮られる場合は距離をさらに広げることが望ましい。急加速は駆動輪のスリップを、急制動はタイヤのロックと滑りを引き起こす可能性がある。もしハイドロプレーニング現象を感じたら、慌てずにすぐにアクセルペダルから足を離し、操作を最小限にして速度を下げることが接地力を回復する可能性を高める方法だ。
梅雨時の雨道事故は単に天候のせいにすることが難しい場合が多い。摩耗したタイヤ、低い空気圧、点検されていないワイパーが重なると、普通の雨道が危険な状況に変わる。本格的な梅雨シーズンが来る前に、今がタイヤの空気圧とトレッド深さを確認する最適な時期だ。