フォルクスワーゲン・T2そっくり?
スカイワースの新型ミニバン「サマー」
フォルクスワーゲンの対応に注目集まる

中国の電気自動車メーカー、スカイワース(Skyworth)が発表した新型プラグインハイブリッドミニバン「サマー(Summer)」が、世界の自動車業界で波紋を広げている。単なる新車発表にとどまらず、その外観が1950〜60年代に人気を博したフォルクスワーゲンの名車「タイプ2(T2)」に酷似しているとして、議論を呼んでいる。
「サマー」はレトロなデザインを全面に打ち出したモデルで、ヘッドライトやルーフライン、フロントグリル、バンパー、さらにはサイドウィンドウのシルエットに至るまで、T2を強く彷彿とさせる。さらに、かつてのT2を象徴する2分割の「スプリッティ(Splittie)」ウィンドスクリーンまで再現されており、フォルクスワーゲン自身の最新モデルよりも、むしろオリジナルに近いという声も上がっている。

50年代フォルクスワーゲンそっくり
性能も再現したのか?
サマーはそのレトロな外観の下に最新のパワートレインを搭載する。1.5リッターガソリンエンジンと94馬力の電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドシステムを採用し、システム合計出力は218馬力に達する。最高速度は時速165kmに制限されているが、日常走行には十分な性能を備えている。
興味深いのは、こうした先進的なパワートレインを採用しながらも、車両形状はミニバンを維持している点だ。これは急成長を遂げる中国のPHEV市場を狙った戦略とみられ、実用性とスタイルの両立を図ろうとした意図が垣間見える。
車体サイズも注目に値する。サマーのホイールベースは3,250mmで、ホンダ・オデッセイ(3,000mm)やフォルクスワーゲンID.バズ(2,989mm)を上回る。運転席を含めて7人乗りが可能で、広々とした室内空間が期待できる。

単なるレトロ感性か、模倣なのか
フォルクスワーゲンの反応が鍵
しかし、このデザインが今後大きなリスクとなる可能性が指摘されている。サマーはフロントデザインでT2をほぼ完全に再現したと評されており、リアは左右開閉式のスイングドアを採用して一部差別化を図っているものの、全体的なシルエットと象徴性において類似性が際立っている。
自動車業界では2021年の類似事例が記憶に新しい。当時、中国ブランドのオラ(Ora)がフォルクスワーゲン・ビートルを連想させる「パンク・キャット(Punk Cat)」を発表した際、フォルクスワーゲンは強い法的措置を示唆した。
この前例を考慮すると、スカイワースのサマーもフォルクスワーゲン側の法的検討対象となる可能性が高い。レトロデザインが電気自動車市場の新たな競争軸として浮上する中、グローバルブランドがデザイン保護と商標権問題にどう対処するか、その行方が注目される。