ピエロが運転席?917馬力で爆走するVW・シング、正気の沙汰じゃない「芸術作品」が爆誕してしまう

VW・シングのカスタムカー
917馬力を発揮する
もはやアート作品の域

引用:YouTube「Holley」
引用:YouTube「Holley」

世界的に電気自動車への移行が進む中、あえて純粋な「クルマへの情熱」を注ぎ込んだモンスターが姿を現した。ベースとなったのは、1973年式フォルクスワーゲン・シング。元々は軍用車をルーツとする小型オフロード車だが、ここまで大胆に変貌を遂げるとは誰が想像しただろう。

LSエンジンにスーパーチャージャーを組み合わせ、最高出力は驚異の917馬力。まさにバーンアウト専用マシンとして再構築されたこの1台は、見た目だけでなく中身も完全に別物に仕上がっている。

この異色のマシンは米フロリダ州に暮らす2人のカーマニアによって製作された。完成までにかかった期間は約15カ月。LSフェストの会場では、スモークとホイールスピンで観客の視線を一瞬で奪い、「アート作品」と呼ぶにふさわしい存在感を放った。

引用:YouTube「Holley」
引用:YouTube「Holley」

圧巻のエンジン
刷新されたシャシー構造

エンジンルームにはV型8気筒のLSエンジンが搭載され、上には威圧感たっぷりのスーパーチャージャーが鎮座する。パワートレインはPrestige Motorsが製作を担当し、917馬力という常軌を逸した出力を実現している。

当然、オリジナルの車体ではこのパワーに耐えられるはずもなく、シャシーはシボレーS10のフレームをベースに再構築。リアには4リンク式サスペンションとGM製ディファレンシャルを組み合わせ、駆動力と剛性を確保した。ミッションにはTCI製700R4オートマチックが組み合わされている。

このパワートレインを成立させるため、フレームマウントからアンダーパネル、インタークーラーに至るまで、すべてがフルカスタム。金属加工や溶接は一人が担当し、もう一人が全体設計と空間デザインを手がけたという。カスタムカーの域を超え、「ゼロから再誕した」という表現がふさわしい仕上がりとなっている。「ゼロから再誕した」レベルのマシンに仕上がっている。

引用:YouTube「Holley」
引用:YouTube「Holley」

前ドアは開かない?
狂気のディテール、その正体

外観だけでなく、内装も完全に常識外れ。排気管はスペースの都合で車体側面に配置され、その影響で前ドアは開かない。ダッシュボードは後方に押し込まれ、前席には人が座るスペースすら存在しない。

代わりに前席を占めているのは、道化師の衣装をまとったマネキン2体。実際の運転席は後部にあり、車内にはステアリングホイールが4つも取り付けられている。

製作者は「警察に止められるたびに、『本当に運転してるピエロは誰なんだ』って聞かれる」と語る。ユーモアと芸術性、そして独創性を兼ね備えたこの1台は、もはや走るパフォーマンスと呼ぶべき存在だ。

引用:YouTube「Holley」
引用:YouTube「Holley」

燃費?そんなものには興味なし
バーンアウトのための究極マシン

燃費や室内空間、乗り心地など、そんな概念はこのクルマには存在しない。フォルクスワーゲン・シングはバーンアウトのためだけに設計されており、その一点においては誰にも引けを取らない完成度を誇っている。

900馬力超の出力が後輪に注がれ、フロントから吹き上がる白煙、そしてピエロ姿のマネキン。すべてがショーの完成度を高めるための演出だ。

当然ながら、公道走行は不可能。しかし、自動車文化の本質、つまり個性と情熱を極限まで体現したこの1台は特別な意味を持っている。

型破りなLSスワップの極致とも言えるこのカスタムカーはクルマを愛するすべての人に純粋な情熱とは何かを問いかけ、強烈なインスピレーションを与えてくれる。

あわせて読みたい

関連キーワード

コメントを残す

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

こんなコンテンツもおすすめです

CP-2023-0065-33912451-thumb
「このまま中国車になるのでは?」 フォルクスワーゲン、欧州を離れ中国集中へ
CP-2022-0212-33896562-thumb
「家族もEVも諦めない」新型GLBが示したベンツの覚悟
CP-2023-0065-33902653-thumb
メルセデス・ベンツCLAが電動化へ、600km航続と5分充電が示す次の一手
CP-2022-0212-33899522-thumb
「まだ終わらせない」トヨタの切り札GR GT、V8ハイブリッドが選ばれた理由
CP-2023-0065-33898471-thumb
「25%関税の衝撃」トランプ圧力8か月、日本と欧州が15%で踏みとどまった理由
CP-2023-0065-33905179-thumb
日産が中国で“コスパ怪物”投入、中国EVの土俵に立った瞬間
CP-2023-0186-33907556-thumb
冬の朝に増える“立てワイパー”、メーカー設計とズレた使い方が痛手に
CP-2024-0164-33996128-thumb
「来年、本当のEV戦争が始まる」第3世代電気自動車に世界が注目する理由
  • アクセスランキング

    「このまま中国車になるのでは?」 フォルクスワーゲン、欧州を離れ中国集中へ
    「家族もEVも諦めない」新型GLBが示したベンツの覚悟
    メルセデス・ベンツCLAが電動化へ、600km航続と5分充電が示す次の一手
    「まだ終わらせない」トヨタの切り札GR GT、V8ハイブリッドが選ばれた理由
    「25%関税の衝撃」トランプ圧力8か月、日本と欧州が15%で踏みとどまった理由
    日産が中国で“コスパ怪物”投入、中国EVの土俵に立った瞬間
    冬の朝に増える“立てワイパー”、メーカー設計とズレた使い方が痛手に
    「来年、本当のEV戦争が始まる」第3世代電気自動車に世界が注目する理由
    「最先端だからといって最善ではない」便利の裏で広がるユーザーの不満連鎖
    「中国EVだけじゃない」英国補助金で日産が仕掛けた価格反撃、コスパ勢力図が変わる

    最新ニュース

    CP-2023-0065-33912451-thumb
    「このまま中国車になるのでは?」 フォルクスワーゲン、欧州を離れ中国集中へ
    CP-2022-0212-33896562-thumb
    「家族もEVも諦めない」新型GLBが示したベンツの覚悟
    CP-2023-0065-33902653-thumb
    メルセデス・ベンツCLAが電動化へ、600km航続と5分充電が示す次の一手
    CP-2022-0212-33899522-thumb
    「まだ終わらせない」トヨタの切り札GR GT、V8ハイブリッドが選ばれた理由
    CP-2023-0065-33898471-thumb
    「25%関税の衝撃」トランプ圧力8か月、日本と欧州が15%で踏みとどまった理由
    CP-2023-0065-33905179-thumb
    日産が中国で“コスパ怪物”投入、中国EVの土俵に立った瞬間

    主要ニュース

    CP-2024-0164-33967268-thumb
    「最先端だからといって最善ではない」便利の裏で広がるユーザーの不満連鎖
    CP-2023-0065-33894976-thumb
    「中国EVだけじゃない」英国補助金で日産が仕掛けた価格反撃、コスパ勢力図が変わる
    CP-2024-0164-33967229-thumb
    多くが知っているはずのタイヤ空気圧、側面表示が基準にならない構造的理由
    CP-2025-0248-33891493-thumb
    「Gクラスがカブリオレ化」北欧で幌と剛性を限界検証、弱点はどこか
    CP-2023-0065-33890392-thumb
    発電機や作業機の象徴だった古いエンジン、GMが“常識破壊”でEV時代に引きずり出す
    CP-2023-0065-33890088-thumb
    「冬の朝に差が出る」ガソリンとディーゼル、暖房はどちらが有利か