1台2年の製造期間、金貨10万個のアート作品に 突き詰めた「モノ作り」で世界を魅了するパガーニの哲学

金貨10万個の価値

一針一針丹念に製作する

手作りハイパーカー、パガーニ

引用:Instagram@allout_ron

自動車業界で近年注目を集めていたアートバーゼル(Art Basel)マイアミが、昨年12月に盛況のうちに閉幕した。会場で最も注目を集めた作品は、パガーニ・ゾンダをモチーフにした精巧なレプリカだった。10万個の金貨で覆われた外装や、サッカー界のスター選手リオネル・メッシの肖像が描かれたボンネットなど、豪華絢爛なデザインで大きな反響を呼んだ。

この豪華絢爛な作品の制作には、実に3年もの歳月を要した。3年かけて「1台」の車を作り上げたことになる。この作品のモデルとなったパガーニは、実車の製造にも並々ならぬ情熱を注ぐことで知られる超高級スポーツカーブランドだ。年間生産台数はわずか50~60台に過ぎない。

引用:Magneto Magazine
引用:NetCarShow.com

スーパーカーをも超える

イタリアの手作り超高級スポーツカー

パガーニは、アルゼンチン出身のホラチオ・パガーニが創業したイタリアの手作り超高級スポーツカーメーカーだ。創業者のホラチオ・パガーニは世界的なカーボン素材の専門家であり、彼の並外れたカーボン素材への執着がパガーニ独自の魅力の源となっている。全ての車両にカーボン素材を採用し、その軽量化技術によってスーパーカーをも凌駕する極限の速さを実現している。

カーボン素材という特殊素材の他にも、パガーニを象徴するデザイン要素がある。それは楕円形だ。全ての車両にはロゴの外側に楕円を模したデザインが施されている。こうしたパガーニ独自の魅力は、受注生産という特異な生産方式にもかかわらず、多くの人々を魅了する要因となっている。

引用:NetCarShow.com
引用:Automoli

金貨10万個で蘇った

パガーニ・ゾンダとは

パガーニの超高級スポーツカーシリーズの先駆けとして世に送り出されたのが、パガーニ・ゾンダである。今回の作品のモチーフとなったパガーニ・ゾンダは、1999年に初めて公開され、2019年まで生産された後、正式には生産終了となった。しかし現在でも、一部の顧客に限って注文を受け付け、特別仕様車を製作している。生産終了後も、パガーニの原点を忘れない顧客に向けた、同社からの小さな贈り物と言えるだろう。

パガーニ・ゾンダは、メルセデス-AMG製の6,000cc V12エンジンを搭載し、MR(ミッドシップ・リア)方式を採用している。カーボン素材を駆使した未来的で洗練された流線型のデザインが特徴だ。初代モデルのパガーニ・ゾンダC12以降に登場した後継モデルは、ブランドのアイデンティティを踏襲している。多いものでは40台、少ないものでは3台と、様々な台数の限定モデルが発売された。

引用:Motor Authority
引用:NetCarShow.com

クルマを超越する価値

その価値を顧客へ

ゾンダの後継シリーズであるウアイラシリーズ、ユートピアシリーズは、既存モデルの課題を改善して発売された。ホラチオ・パガーニは、その強い信念で知られている。自身のプライドを少しでも傷つけるメディアとは、些細な接触さえも避ける。しかし、顧客の声を取り入れ新シリーズを発売するパガーニの姿勢からは、彼が真に追求する顧客と車両の関係性が垣間見える。

オーナーの特別注文を受けてからの生産、さらには特別仕様車の製作まで行うパガーニは、まさに手作り超高級スポーツカーの代名詞だ。年間数十万台の車両を生産する他ブランドとは異なり、パガーニは「1台」の生産に長ければ約2年もの時間をかける。スーパーカーの代表格であるフェラーリでさえ、年間約1万台を生産する。スーパーカーとも比較にならないパガーニの車両製造は、単なる生産の域を超えている。長い待機期間を耐え抜いた顧客に届けられるパガーニの車は、職人の魂が込められた芸術品と呼んでも過言ではないだろう。

あわせて読みたい

関連キーワード

コメントを残す

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

こんなコンテンツもおすすめです

CP-2023-0065-33723638-thumb
「品質が持たない」テスラに“10年最悪の烙印”、検査が暴いた致命的欠陥率…EV覇者の失速か
CP-2023-0065-33738417-thumb
「ポルシェが封印技術を再設計」水噴射で内燃機関の限界を押し広げる
CP-2023-0186-33738380-thumb
「韓国で“軽量FRの逆襲”始まる」大型化一辺倒の韓国でMX-5が異例の注目を集める理由
CP-2024-0164-33828496-thumb
「メーターを見る一瞬が危ない」SHOEIが世界初の完全統合ARで安全常識を覆す
CP-2023-0186-33731786-thumb
「なぜ今プリウスなのか」高金利・高油価の韓国で“家計を救う車”が逆転台頭
CP-2025-0248-33719285-thumb
「北米SUV覇権争い」ホンダ、2026パイロットで“再び主役”を狙う
depositphotos_687136940-stock-photo-trondheim-norway-2023-emblem-dealership
米中摩擦の余波が直撃、ホンダ北米生産が停止続出、スズキが首位級に浮上
CP-2023-0065-33730265-thumb
冬の朝に“ついやってしまう霜取り”がガラスを破壊する…プロが警告する最悪の習慣
  • アクセスランキング

    「品質が持たない」テスラに“10年最悪の烙印”、検査が暴いた致命的欠陥率…EV覇者の失速か
    「ポルシェが封印技術を再設計」水噴射で内燃機関の限界を押し広げる
    「韓国で“軽量FRの逆襲”始まる」大型化一辺倒の韓国でMX-5が異例の注目を集める理由
    「メーターを見る一瞬が危ない」SHOEIが世界初の完全統合ARで安全常識を覆す
    「なぜ今プリウスなのか」高金利・高油価の韓国で“家計を救う車”が逆転台頭
    「北米SUV覇権争い」ホンダ、2026パイロットで“再び主役”を狙う
    米中摩擦の余波が直撃、ホンダ北米生産が停止続出、スズキが首位級に浮上
    冬の朝に“ついやってしまう霜取り”がガラスを破壊する…プロが警告する最悪の習慣
    「焦げた匂いがしたら終わり!?」下り坂で車が突然“制御不能”になる瞬間
    「手を挙げる企業なし」テスラ自動運転システムの提携先が見つからない現実

    最新ニュース

    CP-2023-0065-33723638-thumb
    「品質が持たない」テスラに“10年最悪の烙印”、検査が暴いた致命的欠陥率…EV覇者の失速か
    CP-2023-0065-33738417-thumb
    「ポルシェが封印技術を再設計」水噴射で内燃機関の限界を押し広げる
    CP-2023-0186-33738380-thumb
    「韓国で“軽量FRの逆襲”始まる」大型化一辺倒の韓国でMX-5が異例の注目を集める理由
    CP-2024-0164-33828496-thumb
    「メーターを見る一瞬が危ない」SHOEIが世界初の完全統合ARで安全常識を覆す
    CP-2023-0186-33731786-thumb
    「なぜ今プリウスなのか」高金利・高油価の韓国で“家計を救う車”が逆転台頭
    CP-2025-0248-33719285-thumb
    「北米SUV覇権争い」ホンダ、2026パイロットで“再び主役”を狙う

    主要ニュース

    CP-2023-0065-33718454-thumb
    「焦げた匂いがしたら終わり!?」下り坂で車が突然“制御不能”になる瞬間
    CP-2023-0397-33709055-thumb
    「手を挙げる企業なし」テスラ自動運転システムの提携先が見つからない現実
    CP-2023-0186-33708571-thumb
    「マツダ2、静かな反撃」大改編なしで販売線図が動く、1.5Lが生んだ“逆転シナリオ”
    CP-2023-0397-33707062-thumb
    ホンダ「反撃の狼煙」米国EV市場でRSXが逆襲へ
    CP-2023-0370-33692685-thumb
    レクサスとトヨタ、韓国での売上高が急増中!一方、ホンダの現状は?
    CP-2023-0065-33708584-thumb
    「これじゃ本当に買えない!」ドイツの検査でテスラが"最多欠陥1・2位"を独占