
韓国を訪れる外国人ドライバーや海外消費者が疑問に感じるのが、夜間や雨天時に車線表示が見えにくいことだ。2025年に韓国メディアが大々的に報じた車線塗装の不正事件は、公共入札制度の抜け穴や違法な下請け、公務員汚職が複合的に絡み、道路安全を脅かしてきた実態を浮き彫りにした代表例だ。塗装業の免許さえあれば機器がなくても入札に参加できる抜け穴があった。

実体のない業者やペーパーカンパニーが機器を持たぬまま落札し、工事費の約30%を手数料として差し引いたうえで、実際に機器を持つ専門業者へ再委託する違法な下請けが数年間続いていた。所在地の同じ複数法人を設立し重複入札するなど手口も巧妙化した。2025年に済州(チェジュ)市が発注した1億ウォン(約1,090万円)規模の入札には200社近くが参加したが、実際に施工能力を備えていたのは5社前後にすぎなかった。

警察の捜査により、車線塗装事業を担当する公務員が施工業者に旅行費用を要求したり接待を受けたりするなど、継続的に賄賂を受け取っていた事実が判明した。自治体と行政当局は不正入札や違法な下請けの実態を事前に把握していたにもかかわらず、規定上の限界を理由に事実上放置してきた。

この事案は、韓国の公共インフラ管理と入札制度の透明性欠如、事後監督の不十分さを示す事例と評価されている。資格審査や下請け取り締まりを厳格に行う日本や米国の視点では、検証不足と公務員の癒着が道路安全を脅かす明確な警告といえる。事件を受け韓国では、実効性ある資格審査の導入と、違法な下請け・不正への取り締まり強化を求める声が高まっている。