
ポルシェがブランドの象徴である911を純粋電気自動車にしない方針を改めて公式に表明した。内燃機関とハイブリッド技術を軸に911のアイデンティティを維持する一方、SUVおよびスポーツカーのラインナップでは電動化を継続的に拡大していく構えだ。
「電動911は絶対に作らない」

ポルシェは先日開催された年次株主総会で、今年10月7日に詳細発表を予定している「Strategy 2035」の概要を示し、今後の製品戦略の方向性を明らかにした。ポルシェのミヒャエル・ライターズCEOは「911に採用されたハイブリッドシステムは単なる過渡期技術ではなく、将来に向けた核心技術だ」と強調し、「純粋電気の911は決して発売しない」と明言した。ライターズCEOはさらに、ハイブリッドこそが911の生命線を支える中核であり、ブランドを代表するスポーツカーは今後も内燃機関の魅力を保ち続けるとの考えを示した。
SUVとスポーツカーで電動化を拡大
一方、他の車種では電動化を積極的に推進する。マカンとカイエンは内燃機関モデルと電気自動車を並行展開しており、次世代の718ボクスター/718ケイマンもガソリンモデルと電気自動車モデルが同時に発売される予定としている。また、カイエンより大型の3列シートフラッグシップSUVも開発中だ。当初は電気自動車専用モデルとして計画されていたが、市場環境の変化を受けて内燃機関モデルを先行投入する案も検討されている。加えて、ブランド最上位モデルとなる新型ハイパーカーの開発も進めており、高収益プレミアム市場でのポジション強化を目指している。

ラインナップを拡大しつつモデル構成を整理
ポルシェは新モデルを拡充する一方で、モデル構成の簡素化も進める方針だ。ライターズCEOは「現在のポルシェのラインナップは競合他社と比較しても過度に複雑になっている」と述べ、市場需要に合わせて一部のモデルとグレードを整理すると説明した。実際、タイカンスポーツツーリスモとクロスツーリスモは米国市場での販売をすでに終了している。ただし、欧州など他の市場では引き続き販売が続けられる予定だ。ポルシェは今後も内燃機関・ハイブリッド・電気自動車の3つのパワートレインをすべて維持するマルチパワートレイン戦略を継続するとしている。

電動化の波が自動車業界全体に広がるなか、ポルシェは911に限って内燃機関とハイブリッドにこだわり続けるという明確な姿勢を示し、差別化路線を堅持している。