
ホンダが交換式バッテリーシステム「モバイルパワーパックe:」を米国市場に導入し、早ければ6月(現地時間)からB2B商用事業を開始する。
電気自動車専門メディアのエレクトレック(米国)は11日、ホンダがACTエキスポ2025でこの計画を発表したと報じた。
電動芝刈り機・スクーターでの試験から拡大
今回の事業の核心となるのはバッテリーそのものではなく、バッテリー交換インフラを含む運営の仕組みだ。ホンダはこれを電力供給、小型建設機械、農業、資材運搬の各分野に優先的に適用する方針で、充電時間の長さや機械の稼働中断、バッテリーコストの高さといった電動化普及の主要な課題解消に重点を置く。
ホンダはこれまで、電動芝刈り機、インドネシアの電動スクーター、国内でのヤマハ発動機との協業などを通じてバッテリー交換技術を試験してきた。米国では、複数の産業機器が同一バッテリーを共用する仕組みを軸に普及を拡大する計画で、ホンダが示したコンセプト図も、1つのバッテリーをさまざまな業種で共通利用する方式を示している。
自動販売機形式の交換ステーション
重点はバッテリーの標準化と交換インフラの構築にある。ホンダは自社製品にとどまらず、他メーカーの機器にも適用可能な業界標準としてモバイルパワーパックe:を拡張する目標を示した。バッテリー交換ステーションは自動販売機形式の自動充電設備として運営され、ユーザーは放電したバッテリーを返却して充電済みバッテリーと即時交換でき、機器を停止なく稼働し続けることができる。
ホンダeMaaS構想と再生可能エネルギー
ホンダはこの事業を「ホンダeMaaS」構想と結びつけている。エネルギーサービス(EaaS)と移動サービス(MaaS)を組み合わせた体系で、モバイルパワーパックを核心要素として活用する計画だ。再生可能エネルギーの利用拡大にも貢献できるとも強調している。
適用範囲はモビリティにとどまらない。ホンダは電力会社、建設機械メーカー、マンション居住者などへと顧客範囲を拡大できるとみており、携帯式小型バッテリーへの需要があるあらゆる分野が潜在市場になりうると判断している。
バッテリーパックは携帯性と耐久性を考慮して設計されており、衝撃・防水・熱・電磁環境に対応する。重さは約9kg台とされる。比較的軽量なため多様な機器での共用が可能で、ポータブル電源としての活用もできる。内部にはバッテリー管理システムが搭載されており、充放電を制御して劣化を最小限に抑える。
充電インフラには系統連系機能も備える。ホンダはモバイルパワーパックエクスチェンジャーを電力系統に直接接続し、電力需要が低い時間帯に蓄電し、需要が急増する際に放電するピークシフト方式も構想している。運営コストの低減だけでなく、電力系統の安定化にも貢献できると説明している。