整備士の「アライ見ましょう」は営業か、実は急ブレーキで制御遅れの火種になる

【引用:Depositphotos】冬が近づきウィンタータイヤ交換の準備を始める人が増える時期だが、タイヤだけ替えて作業完了と思っているなら実は半分しか終わっていない。タイヤショップでアライメントも確認したほうがいいと言われ、営業トークだと受け流した経験がある人は多いだろう。しかしホイールアライメントは走行性と安全性の土台であり、無視すると車は確実に不調を示し始める。

【引用:Depositphotos】ホイールアライメントとは車輪が正しい角度と位置で整列しているかを示す総称で、直進安定性や操舵感、タイヤ摩耗、燃費にまで影響する重要要素だ。ずれた状態ではハンドルが取られ、車両が一方に流れ、タイヤは偏摩耗し、気付かないうちに燃費も落ちていく。特に急ブレーキや急な回避操作では制御遅れを招き、事故リスクを高める要因にもなる。

【引用:ミシュラン】点検で最も頻繁に確認されるのがトー角だ。車を上から見た際、前側が内向きならトーイン、外向きならトーアウトと呼ばれ、このわずかな角度が直進性と摩耗を大きく左右する。トーがずれるとタイヤは常に横方向へ引きずられる状態になり、偏摩耗が進行し、ハンドルの微振動やふらつきとして現れる。結果としてタイヤ寿命と燃費の両方を縮める。

【引用:ミシュラン】トーの影響は走行方式にも関係する。右側通行の国では道路のカントにより車は自然に右へ寄りやすく、補正の結果左側タイヤの摩耗が進みやすい。左側通行ではその逆が起きる。つまりアライメントのずれは運転者の癖や道路環境と重なり、気付かないうちに片減りを加速させる。定期的な測定を怠ると原因不明の摩耗として表面化する。

【引用:Depositphotos】トー以外にもキャンバやキャスタといった要素がある。キャスタは自転車の前輪を想像すると分かりやすく、直進時の安定感やハンドルの戻りに関係する。キャンバは正面から見た際の傾きで、モータースポーツでは負のキャンバが多用されるが、一般車では過度な設定は直進性を損なう。日常使用ではメーカー基準内を保つことが重要だ。

【引用:Depositphotos】ホイールアライメントの点検目安は走行1万〜1万5000km、または約6か月に一度とされる。ポットホールや荒れた路面を多く走る環境ではさらに短い周期が望ましい。忙しくてもタイヤ交換でショップを訪れる機会があるなら、そのタイミングでアライメント確認を加える価値は高い。小さな点検が走りの質と安全、そして維持費を確実に変えてくれる。

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