電気自動車ブレーキに潜む“時限爆弾”、知らぬ間に寿命半減

【引用:ヒョンデ】ブレーキペダルを踏むたびに響く「キィー」という金属音。電気自動車のオーナーなら、一度は耳にしたことがあるだろう。回生ブレーキによって摩耗が少ないとされる電動車のブレーキだが、その安心感が逆に油断を生む。見えない部分で進行するブレーキシステムの劣化を放置すれば、高額な修理費につながる「時限爆弾」と化す恐れがある。電動化時代の車は、単にペダルを踏むだけでは守れない新たな整備常識を求めている。

【引用:日産】電気自動車のブレーキで発生する「キィー」という音の正体は、多くの場合「ブレーキパッドのグレージング」だ。摩擦熱や異物で硬化したパッド表面がガラス状になり、制動力を著しく低下させる現象である。頻繁な急ブレーキや長時間の制動、または逆にブレーキを使わないことでも固着が進む。回生ブレーキが主に減速を担う電気自動車では、機械式ブレーキの使用頻度が減る分、錆や硬化によるグレージングが発生しやすく、結果的に安全を脅かす要因となる。

【引用:キア】電気自動車の心臓部ともいえる回生ブレーキは、減速時に発生する運動エネルギーを電力に変換し、バッテリーへ再供給する仕組みだ。モーターの逆トルクを利用して車を減速させるため、機械式ブレーキの摩耗を抑える効果がある。回生ブレーキの強度を高く設定すれば、ペダル操作の頻度が減り、結果としてパッドやディスクの摩耗も少なくなる。エネルギー効率とメンテナンス性を同時に高める、まさに電動車の根幹技術といえる。

【引用:depositphotos】近年の電気自動車では、パドルシフトやディスプレイ設定で回生ブレーキの強度を調整できる。強めに設定すれば、アクセルを離すだけで減速できる「ワンペダルドライブ」が可能となり、市街地や下り坂でのエネルギー回収に効果的だ。弱めに設定すれば、高速走行時の惰性を活かし、滑らかな乗り心地を得られる。パドルでリアルタイムに強度を変えれば、エンジンブレーキのような操作感を得ながらグレージングの発生を抑制できる。

【引用:キア】ブレーキパッドのグレージングは単なる騒音ではなく、安全を脅かす警告サインである。その予防の鍵となるのが、回生ブレーキの正しい理解と活用だ。運転習慣や道路状況に応じて最適な強度を設定すれば、ブレーキシステムの寿命を延ばし、不要な修理費も防げる。電動化時代のドライバーに求められるのは、車の特性を理解して能動的に操作する「スマートドライビング」。小さな設定の違いが、安全と経済性を大きく左右する時代になっている。

あわせて読みたい

関連キーワード

コメントを残す

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

こんなコンテンツもおすすめです

CP-2022-0212-33237819-thumb
“ロケット!?”BOOSTモードで覚醒 ホンダが新型EV『Super-ONE』を初公開
CP-2023-0078-33232275-thumb
「センチュリーで日本の誇りを取り戻す」トヨタが誇りを懸けた新章、センチュリーが世界の舞台へ
CP-2025-0196-33262583-thumb
車のドアが凍らない?整備士が明かす「ヴァセリン」の魔法
CP-2023-0065-33233633-thumb
「ブレーキまで侵入された時代」、自動車がハッカーの標的に、便利さが招く制御不能の恐怖
CP-2023-0065-33241224-thumb
「1回の充電で1,704km?」、走行距離を倍増させたのは“運転者の意識”だった
CP-2023-0094-33214424-thumb
ミッドシップ×4WD、新たな鼓動が響く!トヨタの核心にGRスピリット
CP-2023-0065-33242601-thumb
スカイライン400R、“伝説の終章”公開 日産の魂が動き出す
CP-2023-0065-33211660-thumb
「その価値はあるのか」 10台限定、価格も存在も規格外 SUVの“キング”が登場
  • アクセスランキング

    “ロケット!?”BOOSTモードで覚醒 ホンダが新型EV『Super-ONE』を初公開
    「センチュリーで日本の誇りを取り戻す」トヨタが誇りを懸けた新章、センチュリーが世界の舞台へ
    車のドアが凍らない?整備士が明かす「ヴァセリン」の魔法
    「ブレーキまで侵入された時代」、自動車がハッカーの標的に、便利さが招く制御不能の恐怖
    「1回の充電で1,704km?」、走行距離を倍増させたのは“運転者の意識”だった
    ミッドシップ×4WD、新たな鼓動が響く!トヨタの核心にGRスピリット
    スカイライン400R、“伝説の終章”公開 日産の魂が動き出す
    「その価値はあるのか」 10台限定、価格も存在も規格外 SUVの“キング”が登場
    「完全自動」を信じて眠った運転手…警察に突っ込む
    ボルボ、初の電動旗艦「ES90」発表 NVIDIA搭載で新時代へ

    最新ニュース

    CP-2022-0212-33237819-thumb
    “ロケット!?”BOOSTモードで覚醒 ホンダが新型EV『Super-ONE』を初公開
    CP-2023-0078-33232275-thumb
    「センチュリーで日本の誇りを取り戻す」トヨタが誇りを懸けた新章、センチュリーが世界の舞台へ
    CP-2025-0196-33262583-thumb
    車のドアが凍らない?整備士が明かす「ヴァセリン」の魔法
    CP-2023-0065-33233633-thumb
    「ブレーキまで侵入された時代」、自動車がハッカーの標的に、便利さが招く制御不能の恐怖
    CP-2023-0065-33241224-thumb
    「1回の充電で1,704km?」、走行距離を倍増させたのは“運転者の意識”だった
    CP-2023-0094-33214424-thumb
    ミッドシップ×4WD、新たな鼓動が響く!トヨタの核心にGRスピリット

    主要ニュース

    CP-2024-0164-33254558-thumb
    「完全自動」を信じて眠った運転手…警察に突っ込む
    CP-2023-0065-33167287-thumb
    ボルボ、初の電動旗艦「ES90」発表 NVIDIA搭載で新時代へ
    CP-2023-0065-33179980-thumb
    ブルーノ・マーズ、華麗な舞台裏に響くエンジンの旋律 感性で満たされた“走るミュージアム”
    CP-2024-0045-33168289-thumb
    トヨタ新型「カムリGT-Sコンセプト」登場…合理を超えた感性の“スポーツセダン”
    CP-2023-0065-33130318-thumb
    名前だけで40種類!?「ADASの呼び名」がメーカーごとにバラバラな“本当の理由”
    CP-2023-0065-33174024-thumb
    「米国では売らない!」トヨタ 新型FJクルーザー、世界のオフロードファンが息をのんだ理由