世界に存在しない日産の夢の一台
公開直後から驚異的な反響
現実にはない、でも「絶対にあってほしい」理想のクーペ

日産が開発したわけではないにもかかわらず、多くのファンが「現実になってほしい」と熱望しているクーペが登場した。これは、チェコのデザイナーであるバレンティン・コムコフ(Valentin Komkov)氏が手がけた、デジタル上のコンセプトカー「日産・500SX」である。
180SXとシルビアという名車のエッセンスを、現代的な解釈で融合したこのモデルは、実在しないにもかかわらず、完成度の高さで高く評価されている。東京オートサロンに並んでも違和感のない仕上がりで、想像と技術の境界を曖昧にする存在として、クルマ好きの関心を集め続けている。


レトロと未来を融合したスタイル
JDMカルチャーの新たな到達点
500SXは、180SXの魅力を再構築することを目的としてデザインされた。ポップアップ式のヘッドライトやラップアラウンド型のリアガラスなど、レトロな意匠をそのままに、筋肉質なフェンダーや流麗なボディラインを加えることで、現代的なフォルムに生まれ変わった。リアにはスリムなLEDテールランプやダックテールスポイラー、4本出しマフラーを装着し、まるでGTカーのような雰囲気を漂わせている。
ボディカラーには日産・アリアに似た「サンライズコッパー」が採用されており、足元を引き締めるダイヤモンドカットのホイールも好印象を与えている。レトロな雰囲気と現代的な感性を両立させたこのスタイルは、単なるオマージュにとどまらず、現代のJDM文化を再構築する試みとして完成度が高い。コムコフ氏は、500SXについて「職人技とデザイン性、そしてパフォーマンスが融合したJDMの結晶である」と説明している。


まさかの「2JZ」搭載設定
日産×トヨタの夢のコラボ?
500SXで最も注目されているのは、搭載エンジンの設定である。なんと日産ZのV6エンジンではなく、トヨタ・スープラの伝説的な2JZ直列6気筒ターボを採用しているという。もちろんこれは架空の車両であり、現実の制約を受けないからこそ実現した構成だが、それでもこの大胆な選択が多くのファンに新鮮な驚きを与えている。
駆動方式には明言されていないが、後輪駆動とマニュアルトランスミッションの組み合わせが想定されている。さらに、フロントバンパーには「先進ドリフトライダーシステム(Advanced Drift Lidar System)」という遊び心のある記述も盛り込まれており、クルマ好きの想像力にユーモアを添える仕掛けとなっている。


現実を超えたファンの想像力
存在しないが、確かに必要とされる一台
500SXは日産の公式車種ではない。それにもかかわらず、その完成度の高いビジュアルと構成力によって、「実際に発売してほしい」と望む声が後を絶たない。このコンセプトカーは、ライトウェイトスポーツというよりも、デジタル世界のGTカーに近い性格を持っている。
Zと競合するかのように見えるが、むしろZとGT-Rの中間にあたるポジションを埋める存在として期待されている。自動車業界が効率や収益性を重視する中で、想像力を形にするデザイナーたちの存在が改めて注目されている。いつか日産がこのコンセプトをもとに、現実の製品として市場に送り出してくれることを心から願いたい。