
高速道路工事現場で誘導員の警告を無視し無制動で突進した貨物トラック1台が作業車両に衝突する場面を捉えた映像が大きな波紋を呼んでいる。この映像はNEXCO東日本が公式SNSを通じて公開したもので、規制区間への進入事故が毎年増加しているという警告とともに発表された。映像を見たネットユーザーの間では加害車両の運転者に対する強い批判と、危険な状況で身をかわした作業者への同情と応援が同時に寄せられている。
工事規制区間に現れたトラック、制動なしで突進した
公開された映像は高速道路本線に停車中の工事車両のドライブレコーダーに記録された後方映像だ。具体的な路線名と場所は明かされていない。事故現場は左側の付加車線を含む合計3車線のうち最も右側の追越車線に工事による車線規制が設けられ、誘導棒を持った作業者と車線変更を案内する矢印板が配置されていた。ワイパーが作動中のことから雨天下での作業だったことがわかる。
映像開始約5秒後、規制中の追越車線内側でヘッドライトを点けた車両1台が速度を落とさずに姿を現す。異変を感知した作業者が誘導棒を大きく振って警告したが、車両は止まる気配を見せなかった。作業者の約20m前に置かれていた安全ラバコーンはそのまま踏みつぶされ、衝突直前に同車両が中型トラックだと判明した。トラックは最後までブレーキを踏まず、危険を感じた作業者は中央分離帯側に身をかわし、辛うじて人身事故を免れた。トラックは減速せずに工事車両と正面衝突し、映像は衝撃で画面が真っ白になる瞬間で途切れる。

規制区間進入事故、4年で2.8倍に急増した
通常、高速道路工事規制区間では数km前から「前方工事」などの予告標識が複数設置され、道路電光掲示板でも文字による案内が行われる。規制現場直前には安全ラバコーンと発煙筒で車線規制が追加で示されるのが一般的だ。こうした多重の案内にもかかわらずトラックが規制区間に進入した点から、運転者がこれらの情報を全く認識せず、居眠り運転や不注意運転をしていた可能性が極めて高いと指摘されている。
NEXCO東日本によると、工事規制区間内の車両進入事故は2020年度の704件から2021年度には1,095件に急増し、その後も毎年増加を続け、2024年度には1,966件を記録したとのことだ。4年間で2020年度比2.8倍の水準に増加したことになる。これらの事故には作業者が車両にはねられて命を落とした重大事故も含まれている。

NEXCO東日本は「規制区間を通過する際は標識と案内板に従い余裕を持って車線を変更し、十分な車間距離を確保してほしい」と呼びかけた。道路交通法上でも工事規制区間通過時は車線変更義務と速度遵守が求められ、誘導員の指示に従わない場合は法令違反として処分対象となる可能性がある。
相反する反応、処罰強化論と物理的対策論が交錯する
映像公開後、ネットユーザーの間では加害運転者への強い批判が相次いだ。「スマートフォンを見ながらの運転か、明らかな居眠り運転だ」、「前方を全く見ていないレベルで、単なる事故ではなく殺人未遂として扱うべきだ」、「このような危険運転をする運転者は即座に免許を取り消すべきだ」など、処罰強化を求める声が大半を占めた。

一方、危機を免れた作業者に対しては「身のこなしが素晴らしい。一歩遅ければ命を落としていた」、「常に生命の危険と向き合いながら働く作業者たちに頭が下がる」といった慰労と感謝の反応も寄せられた。対策整備を促す意見も目立った。「安全ラバコーンでは物理的に車を止められない。作業者を守る強力なバリケードが必要だ」、「作業者の前には必ず衝撃吸収車両(TMA)などの大型車両を盾として配置すべきだ」といったシステムと設備の改善を求める声が上がっている。
工事区間の安全運転、運転者自身の余裕がカギとなる
NEXCO東日本は公式SNSで「高速道路を走行中の車両が規制中の作業現場の作業者と衝突し、作業者が命を落とす事故が発生している」と述べ、安全運転を重ねて呼びかけた。今回の映像は工事規制区間進入事故が決して他人事ではなく、年々その件数が増加しているという警告として受け止められる。高速道路利用前に走行ルートの工事予定情報をNEXCO東日本公式サイトや道路情報提供サービスで事前確認し、規制区間に進入する前から余裕を持って減速し、車線変更する習慣が必要だと指摘されている。