
デンソー、半導体戦略を二本柱で推進——ロームとの連携継続へ
デンソーは次世代半導体市場への対応に向け、「独自技術の高度化」と「外部連携の強化」という二本柱の戦略を打ち出した。ロームへの買収提案を取り下げた後も、相互の強みを活かした戦略的協力関係を構築し、モビリティ電動化時代での競争力強化を目指す考えだ。
ロームとの連携継続へ——車載用・産業用のシナジーを模索
18日、ニュースイッチの報道によると、林新之助社長は愛知県刈谷市の本社で開かれた定時株主総会に出席し、ロームとの今後の半導体事業関係について株主に説明した。デンソーは4月28日にロームへの株式取得提案を取り下げていた。
林社長は「これまでお互いに注力してきたターゲットが異なっていた車載用半導体(デンソー)と民生・産業機器用半導体(ローム)という、それぞれの分野で互いの強みを十分に活かし合える」とし、「ローム側とより発展的な『より良い連携』の方策を模索していく」と強調した。買収によるシェア争いより、提携によって互いの強みを持ち寄り顧客への付加価値を高める実利的な路線を選んだとみられる。
「半導体はデンソーの基盤技術」——SiCは2027年の社会実装へ
林社長は、半導体がデンソーの未来モビリティ事業を決定づける核心「基盤技術」であることを改めて強調した。「これまで蓄積してきた車載用半導体技術と知見を活かし、電力(パワー)半導体、アナログ半導体、デジタル半導体の独自開発を一層加速する」と述べた。
デンソーは半導体能力の強化を通じて車載用インバーターなど主力製品の性能を最大化し、グローバル自動車市場の電動化・知能化トレンドに積極的に対応する方針だ。特に電気自動車の電力効率を大幅に高める次世代材料、炭化ケイ素(SiC)を用いた電力半導体をウェハー段階から自社生産する独自の取り組みを続けており、2027年の社会実装を目指している。林社長は中長期的には窒化ガリウム(GaN)電力半導体への取り組みも進める方針も示した。
豊田会長が退任——「答えは現場にある」の教えを胸に
今回の株主総会をもって、トヨタ自動車会長の豊田章男氏がデンソー取締役の職から正式に退任した。退任の理由についてデンソーは、豊田氏が日本自動車会議所会長として自動車産業全体の課題に注力するためと説明している。
豊田氏は当日の総会を欠席した。林社長は豊田会長の退任について「『答えは現場にある』という教えをはじめ、経営者として戻るべき原点など、これまで多くのことを学んだ」と語った。続けて「豊田氏の欠席について、正直なところ寂しいという気持ちが大きい。その貴重な教えを忘れず、徹底的に現場に根付いた経営を続ける」と感謝の気持ちを述べた。