「テスラ危機」JPモルガンが警告、IRA補助金廃止で最大5000億円の損失か マスクは強気姿勢を崩さず

JPモルガン、テスラの利益減少を警告

IRA補助金廃止でテスラに打撃か

トランプとマスクの同盟関係の行方は

引用:Investopedia

トランプ政権2期目就任後、電気自動車業界に不安が広がっている。ドナルド・トランプ次期大統領の環境政策に対する消極的な姿勢が背景にある。すでにトランプ政権2期目の政策方針は環境産業よりも従来型産業を重視する方向性が鮮明となった。ただし皮肉なことに、テスラのイーロン・マスクCEOはトランプ政権2期目の中心的人物で、「トランプの右腕」と呼ばれている。

この懸念を裏付ける分析が先月3日に公表された。JPモルガンのアナリストが、トランプ政権2期目の政策方針がテスラの経営を圧迫する可能性があるとの報告書を発表したのだ。一方でマスクは、むしろIRA補助金廃止に賛同する発言を続けている。JPモルガンとマスクの主張、その根拠を詳しく見ていこう。

引用:Global Finance Magazine
引用:CNN

JPモルガン、収益悪化を警告

テスラ経営リスク分析

トランプの公約通りIRA補助金が廃止された場合、テスラの利益が最大40%減少する恐れがあるとの見方だ。金額にすると32億ドル(約5,000億円)という巨額な損失となる。またJPモルガンのアナリストは、テスラの市場シェアが1.8ポイント低下すると予測している。

これは2024年のテスラの業績低迷とも無関係ではない。2024年、テスラは10年ぶりに販売台数が前年割れを記録。2024年の最終販売台数は2023年比で1%減少した。ここにIRA補助金廃止が重なれば、テスラの販売台数がさらに落ち込む可能性がある。JPモルガンのアナリストは、IRA補助金廃止の打撃が他のEVメーカーと比べてテスラにとってより深刻になると分析している。

引用:Reddit
引用:Carscoops

強気の姿勢崩さぬマスク

IRA補助金は不要との立場

市場の不安をよそに、マスクはIRA補助金廃止に前向きな姿勢を示している。テスラのブランド力とEV業界での独自の地位に自信を持っているためだ。テスラは新規参入が相次ぐなか、依然として市場での優位性を保っている。この市場支配力を背景に、IRA補助金の影響はテスラより競合他社の方が致命的になるとの見方だ。

しかし競合各社の認識は大きく異なる。現代自動車グループはIRA補助金廃止を「懸念材料とは考えていない」として、市場の不安を一蹴した。EV事業への投資を決めた時点で、補助金は存在せず、計算にも入れていなかったとの立場を示した。

引用:Responsible Statecraft
引用:Carscoops

EV市場のトランプリスク

実現性は不透明か

JPモルガンの分析とマスクの自信、どちらが的確か判断する上でもう一つ重要な要素がある。それはIRA補助金が廃止されない可能性だ。IRA補助金の廃止はEV市場だけでなく、米国の労働界、さらには米国経済全体にも影響を及ぼす。廃止されれば1,300億ドル(約20兆円)の損失が米国経済に及び、IRA政策で生まれた30万人の雇用が危機にさらされる。広範な悪影響をもたらすこの政策は、議会の承認はもちろん、共和党内部からの反対にも直面する可能性が高い。

それでもなお、トランプという人物の予測不可能性が業界全体に緊張をもたらしている。IRA補助金が廃止されない場合でも、規模縮小の可能性が指摘されるなど、様々なシナリオが浮上している。IRA補助金を巡る議論が与える影響とその帰結に、業界の注目が集まっている。

あわせて読みたい

関連キーワード

コメントを残す

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

こんなコンテンツもおすすめです

CP-2024-0164-34885840-thumb
「中国製EVは走るスパイだ」ポーランド軍が軍事施設への出入り禁止を正式検討…センサー技術が安保脅威に
CP-2024-0164-34938038-thumb
「2023年から2026年モデルすべて対象」トヨタ、プリウス系ドア欠陥で3年分リコール
CP-2022-0184-34750927-thumb
「ベンツAMG、ミトス第2弾に660馬力V8を搭載」クーペで拡張する限定シリーズの到達点
CP-2024-0164-34830761-thumb
「外観は控えめ、中身は別物」メルセデスSクラス改良の狙いは"見えない優位性"
CP-2023-0065-34813017-thumb
「EVに乗り換えなくても排出は削減できる」既存車両で挑む環境性能最適化の技術
CP-2024-0164-34859002-thumb
「冬は電気自動車が不利?!」氷点下10度でEVとガソリン車を比較
CP-2025-0299-34928541-thumb
「規制が止めた伝説」ダイハツ、コペン生産終了で24年の歴史に幕
CP-2023-0397-34857777-thumb
「テスラを想起させるミニマル内装」トヨタ、新型3列電動SUVで「Arene」初採用…EV戦略の転換点
  • アクセスランキング

    「中国製EVは走るスパイだ」ポーランド軍が軍事施設への出入り禁止を正式検討…センサー技術が安保脅威に
    「2023年から2026年モデルすべて対象」トヨタ、プリウス系ドア欠陥で3年分リコール
    「ベンツAMG、ミトス第2弾に660馬力V8を搭載」クーペで拡張する限定シリーズの到達点
    「外観は控えめ、中身は別物」メルセデスSクラス改良の狙いは"見えない優位性"
    「EVに乗り換えなくても排出は削減できる」既存車両で挑む環境性能最適化の技術
    「冬は電気自動車が不利?!」氷点下10度でEVとガソリン車を比較
    「規制が止めた伝説」ダイハツ、コペン生産終了で24年の歴史に幕
    「テスラを想起させるミニマル内装」トヨタ、新型3列電動SUVで「Arene」初採用…EV戦略の転換点
    「ランボルギーニに別の答えが現れた」非公式レンダリングが突きつけたデザイン分岐
    「9,000rpm自然吸気の終焉」ポルシェ911GT3RS、次世代でターボ化…"技術的アイデンティティ"が消滅へ

    最新ニュース

    CP-2024-0164-34885840-thumb
    「中国製EVは走るスパイだ」ポーランド軍が軍事施設への出入り禁止を正式検討…センサー技術が安保脅威に
    CP-2024-0164-34938038-thumb
    「2023年から2026年モデルすべて対象」トヨタ、プリウス系ドア欠陥で3年分リコール
    CP-2022-0184-34750927-thumb
    「ベンツAMG、ミトス第2弾に660馬力V8を搭載」クーペで拡張する限定シリーズの到達点
    CP-2024-0164-34830761-thumb
    「外観は控えめ、中身は別物」メルセデスSクラス改良の狙いは"見えない優位性"
    CP-2023-0065-34813017-thumb
    「EVに乗り換えなくても排出は削減できる」既存車両で挑む環境性能最適化の技術
    CP-2024-0164-34859002-thumb
    「冬は電気自動車が不利?!」氷点下10度でEVとガソリン車を比較

    主要ニュース

    CP-2024-0164-34830711-thumb
    「ランボルギーニに別の答えが現れた」非公式レンダリングが突きつけたデザイン分岐
    CP-2025-0299-34740626-thumb
    「9,000rpm自然吸気の終焉」ポルシェ911GT3RS、次世代でターボ化…"技術的アイデンティティ"が消滅へ
    CP-2024-0164-34792593-thumb
    「セルフ給油が増えた分だけ点灯も増えた」給油キャップ締め不足がEVAPを動かす
    CP-2025-0248-34834003-thumb
    「故障ではなく構造だった」ハイブリッド車、冬の燃費急落は暖房制御が引き金
    CP-2025-0248-34834004-thumb
    「EV航続距離は管理次第で変わる」冬が露呈させた使い方の差
    CP-2025-0299-34758778-thumb
    「メルセデス・ベンツ、スマートを別物に変えた」#5で中型EV市場に本格進入