わずか3年で生産中止となったトヨタの軽ミニバン「スパーキー」、その再評価すべき魅力とは?

トヨタの軽ミニバン「スパーキー」

最近は見かけない空間活用度

たった3年で生産中止となった不運のモデル

引用:Toyota Club

ボックス型の車体のおかげで、コンパクトながら高い空間活用度を誇るミニバン。軽自動車の人気が高い日本では、車格が小さいボックスカーが多く販売されているが、真のミニバンはスライドドアと3列以上の座席を備え、より多くの人数を輸送できる必要がある。そのためには一定の車体サイズが求められる。

しかし、日本の狭い道路事情では、ミニバンの運行に限界がある。特に狭い路地での取り回しや維持費の高さが問題となる。このような背景から、過去に発売されながらも短期間で生産終了となった軽ミニバンが再評価されることがある。それがトヨタの7人乗りミニバン「スパーキー」である。

引用:Wikipedia
引用:トヨタ

軽自動車を基に開発された

エンジン出力は十分なレベル

トヨタ・スパーキーは、2000年に発売された軽ミニバンで、ダイハツ・アトレー7のバッジエンジニアリングモデルとして登場した。ラジエーターグリルやバンパー、シートなどに違いを持たせた高級版であった。スパーキーの車体サイズは全長3,765mm、全幅1,515mm、全高1,895mm、ホイールベースは2,430mmで、軽自動車より大きいが、ミニバンとしてはコンパクトなサイズだ。

軽自動車規格を超えていたため、1.3L 4気筒ガソリンエンジンを搭載し、最高出力90馬力を発揮した。1100kgの軽量な車体に対して十分な出力を提供し、5速マニュアルと4速オートマチックの選択肢が用意されていた。

引用:トヨタ
引用:SBI Motor Japan

最大7人まで乗車可能

意外に広い3列目空間

小さな車体ながら、スパーキーはミニバンとしての機能を十分に備えていた。2+3+2の3列シートレイアウトで最大7人が乗車可能だが、実際には6人乗車が適していた。このサイズで6人乗車が可能な車両は非常に珍しかった。2列目シートは両側にアームレストがあり、480mmのスライド機能も備えている。

特筆すべきは3列目の広さで、通常3列目は狭くなるが、スパーキーでは2列目と3列目の空間が均等に確保されていた。背もたれの高さも2列目と同等で、独立したヘッドレストが装備されている。ホイールハウス上にはアームレストやカップホルダー、収納スペースも設けられており、最近の中型SUVよりも快適な3列目の居住性を提供していた。

引用:SBI Motor Japan
引用:YouTubeチャンネル「В КАРmahe」

残念ながら3年で生産中止

「シエンタ」が系譜を引き継ぐ

3列目シートは使用しないときに折りたたむことができ、広大な積載スペースを確保できる。2列目シートも折りたたむことができ、バンとしての活用度も高かった。さらに、スパーキーはアトレー7のリアオーバーハングを延長し、前バンパーを強調することで、室内空間と外観のバランスが取られていた。

しかし、スパーキーは商業的に成功せず、2003年2月にわずか3年で生産が中止された。翌年にはアトレー7も生産終了となった。小型3列ミニバンの系譜は、後にトヨタ・シエンタが引き継ぎ、現在まで続いている。

あわせて読みたい

関連キーワード

コメントを残す

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

こんなコンテンツもおすすめです

CP-2023-0065-33914214-thumb
「昼間なのにライト点灯?」運転者の9割が気づかない“照度センサーの罠”
CP-2023-0065-33918731-thumb
「飛び石で新車が終わる?」PPFかセラミックか、塗装保護の正解は一つじゃない
CP-2023-0065-33921238-thumb
「未来装備なのに選ばれない」電子サイドミラー、20%止まりの現実
CP-2023-0059-33924631-thumb
「南米に投げた勝負車」日産の低価格SUVカイト、果たして市場を掴めるのか
CP-2023-0065-33911740-thumb
整備士の「アライ見ましょう」は営業か、実は急ブレーキで制御遅れの火種になる
CP-2023-0065-33912451-thumb
「このまま中国車になるのでは?」 フォルクスワーゲン、欧州を離れ中国集中へ
CP-2022-0212-33896562-thumb
「家族もEVも諦めない」新型GLBが示したベンツの覚悟
CP-2023-0065-33902653-thumb
メルセデス・ベンツCLAが電動化へ、600km航続と5分充電が示す次の一手
  • アクセスランキング

    「昼間なのにライト点灯?」運転者の9割が気づかない“照度センサーの罠”
    「飛び石で新車が終わる?」PPFかセラミックか、塗装保護の正解は一つじゃない
    「未来装備なのに選ばれない」電子サイドミラー、20%止まりの現実
    「南米に投げた勝負車」日産の低価格SUVカイト、果たして市場を掴めるのか
    整備士の「アライ見ましょう」は営業か、実は急ブレーキで制御遅れの火種になる
    「このまま中国車になるのでは?」 フォルクスワーゲン、欧州を離れ中国集中へ
    「家族もEVも諦めない」新型GLBが示したベンツの覚悟
    メルセデス・ベンツCLAが電動化へ、600km航続と5分充電が示す次の一手
    「まだ終わらせない」トヨタの切り札GR GT、V8ハイブリッドが選ばれた理由
    「25%関税の衝撃」トランプ圧力8か月、日本と欧州が15%で踏みとどまった理由

    最新ニュース

    CP-2023-0065-33914214-thumb
    「昼間なのにライト点灯?」運転者の9割が気づかない“照度センサーの罠”
    CP-2023-0065-33918731-thumb
    「飛び石で新車が終わる?」PPFかセラミックか、塗装保護の正解は一つじゃない
    CP-2023-0065-33921238-thumb
    「未来装備なのに選ばれない」電子サイドミラー、20%止まりの現実
    CP-2023-0059-33924631-thumb
    「南米に投げた勝負車」日産の低価格SUVカイト、果たして市場を掴めるのか
    CP-2023-0065-33911740-thumb
    整備士の「アライ見ましょう」は営業か、実は急ブレーキで制御遅れの火種になる
    CP-2023-0065-33912451-thumb
    「このまま中国車になるのでは?」 フォルクスワーゲン、欧州を離れ中国集中へ

    主要ニュース

    CP-2022-0212-33899522-thumb
    「まだ終わらせない」トヨタの切り札GR GT、V8ハイブリッドが選ばれた理由
    CP-2023-0065-33898471-thumb
    「25%関税の衝撃」トランプ圧力8か月、日本と欧州が15%で踏みとどまった理由
    CP-2023-0065-33905179-thumb
    日産が中国で“コスパ怪物”投入、中国EVの土俵に立った瞬間
    CP-2023-0186-33907556-thumb
    冬の朝に増える“立てワイパー”、メーカー設計とズレた使い方が痛手に
    CP-2024-0164-33996128-thumb
    「来年、本当のEV戦争が始まる」第3世代電気自動車に世界が注目する理由
    CP-2024-0164-33967268-thumb
    「最先端だからといって最善ではない」便利の裏で広がるユーザーの不満連鎖