高級EVにも拡大する異常音、放置すれば重大故障につながる“危険サイン”

【引用:テスラ】電気自動車市場が急速に拡大するなか、走行時の静粛性はEV最大の強みとされてきた。しかし近年、モーターから発生する「異常騒音」を訴えるユーザーが増えつつあり、プレミアムブランドにも影響が及ぶ技術課題として注目されている。ある調査では、EVオーナーの約15%が「モーター異常騒音を経験した」と回答しており、特定車種に限られた問題ではないことが示された。

【引用:depositphotos】異常騒音の要因を理解するには、まずEVモーターの基本構造を把握する必要がある。電磁力によって回転力を生み出すモーターは、設計上ある程度のノイズを避けられないが、近年は「電磁的要因」「機械的摩耗」「冷却・潤滑の問題」「電力変換装置由来の高周波」「製造・組立精度」の五つが主要原因として分類されるケースが多い。複数の要因が複合的に作用することもあり、単独の原因を断定しにくい点が特徴だ。

【引用:depositphotos】電磁的要因では、永久磁石同期モーターに顕著な「高周波音」が代表的である。磁束の不均一によるコギングノイズ、トルク変動に伴うリップル音、インバーターの高速スイッチングが金属部品と共鳴して生じる高周波ノイズなどが挙げられる。FEM解析を活用した低減策は進んでいるものの、量産車での完全な解消には至っていない。

【引用:depositphotos】機械的摩耗や振動も大きな要因である。ベアリング摩耗による反復音、回転軸のクリアランス異常、減速機の歯面摩耗やギアオイル不足などは、特に低速域で運転者に伝わりやすい。テスラなど主要メーカーのサービスセンターでも、異常騒音の受付件数の約3割が機械的要因とみられている。

【引用:depositphotos】加えて、冷却・潤滑に関する不具合も無視できない。冷却ファンの変形や軸ブレ、クーラーポンプの摩耗、潤滑油の不足・劣化などは「ジジジ」「ウーン」といった音につながる。高出力走行が増えるほど冷却系への負荷は上昇し、夏冬の極端な気温では発生頻度が高まる傾向も確認されている。

【引用:depositphotos】また、電力変換装置のスイッチングによる高周波振動や、製造・組立工程で生じる微細な誤差も異常騒音の一因となる。ベアリングの挿入位置、固定子と回転子のわずかなズレ、ボルト締結の不均一などは、新車初期の走行から症状が出やすい。各メーカーは検査工程の自動化や設計精度の向上を進めているが、完全な解消には依然として課題が残っている。

あわせて読みたい

関連キーワード

コメントを残す

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

こんなコンテンツもおすすめです

CP-2024-0164-36712421-thumb
「輸出の半分がEVになった」中国の自動車産業、3月に内燃機関から電動化へ軸足を移した
CP-2025-0367-36704716-thumb
「テスラを倒しにきた」BMWが社運をかけた新型i3、8月にミュンヘンで量産開始
CP-2025-0051-36706083-thumb
「電気より積める」トヨタがいすゞと組んだ水素トラック、物流現場が注目する15〜20%の差
CP-2025-0299-36711483-thumb
「テラノが帰ってきた」日産が北京で復活宣言、PHEVオフローダーに市場の目が集まる理由
CP-2023-0067-36699054-thumb
「価格競争は終わった」北京モーターショーで中国勢が打ち出した新戦略、IT企業も一斉参入
CP-2023-0225-36690379-thumb
「BYDより安く」日産サクラが切り開いた、補助金に頼らないEV普及の道
CP-2024-0164-36686645-thumb
「無交換でいい」は誤解、ミッションオイルの前提は保証期間内、放置が高額修理を招く
CP-2024-0164-36686242-thumb
「ただの表示ではない」メーターパネルの役割、事故防止につながる理由